レッドカード1位は「女性社員にお酌&男性社員に力仕事」
さて、ハラスメントになるかどうか、判断が分かれそうな行動や文化について、人々はどう思っているのか。
「女性社員にお酌をさせる」から「会社のデスクに家族写真を飾る」まで10項目について「良くないと思うかどうか」を聞くと、「女性社員にお酌をさせたり、力仕事は男性がやったりする慣例」(32.1%)が3割強でトップになった【図表2】。
次いで「定例飲み会への参加を求める」(29.6%)、「1対1で異性の部下を食事や飲み会に誘う」(27.9%)といった飲み会関連が続いた。特に、「女性社員にお酌をさせたり、力仕事は男性がやったりする慣例」が、マネージャー層・経営者・役員層ではほかの層より突出して多く、4割弱に上ったことが目を引く【再び図表2】。
昭和以来の「伝統」として、自然と染み渡っている社内慣例に懸念を感じている人が上層部に多い様子がうかがえる。これは、古い世代の常として、新しい時代の考え方に、やや敏感に反応している面があるようだ。
それは、「レディースデー・メンズ割など性別による割引」でも、マネージャー層・経営者・役員層で「良くないと思う」(2割台半ば)人が、若い世代より突出して多いことにも表れているようだ。「レディースデーの割引」について、「良くない」と思っている女性は、59歳以下では10%台前半しかいない【再び図表2】。
【図表3】は、実際に社内で「行われているもの」と、人々が「良くないと思うもの」の相関を示した散布グラフだ。上に行くほど「行われている」割合が高くなり、右に行くほど「良くないと思う」割合が高くなる。
これを見ると、「定例飲み会への参加を求める」「女性社員にお酌をさせ、力仕事は男性社員がやる慣例」「職種による男女指定」などは良くないと思う人・行われている割合ともに平均以上であり、要注意な文化・行動といえる。
良くないと思う人が多いなかでも行われている背景には、マネージャー層などの無理解や、固定化されてしまった慣例や考え方が頑なに存在している可能性が考えられる。
また、実施率が高い「時短の社員に責任の重い仕事は振らない」は気にしない人が多い反面、2割程度の人が「良くない」と考えている点は気を付けたい。たとえ善意であっても、人によっては不平等や不快と感じる点を考慮しておく必要がありそうだ【図表3】。