今回の政策は「付け焼刃」のイメージか 新聞社説、是認しつつも懐疑的? 日経「デジタル人材の育成のあり方も考えたい」、朝日「政府をあげた中長期的な取り組み欠かせない」
近年、政権がDXなどのキーワードのなどの流行を追い、ここにきてAI(人工知能)、なかでもChatGPTに代表される生成AIに飛びついて、振興施策を進めようとしている。
今回の政策転換もその一環だが、そもそも人材育成は時間がかかり、10年単位で産業動向や人材需要を予測して取り組むべきものだ。それだけに、今回の政策には「付け焼刃」のイメージが付きまとい、「朝令暮改の繰り返し」(ある大学関係者)との声も聞こえる。
新聞論調も懐疑的だ。そもそも大学定員の規制を批判的してきた日本経済新聞は2023年2月21日社説で、今回の規制緩和を「妥当な判断だろう」と基本的に是認しつつ、「必要なのはデジタル系の学部・学科を出た専門家ばかりではない。専門を問わず、あらゆる分野でデジタルの知識や能力を身につけた人材が求められる時代だ。デジタル人材の育成のあり方も考えたい」とくぎを刺している。
朝日新聞の2023年3月26日社説も、「高校までの教育の問題も含め、政府をあげた中長期的な取り組みが欠かせない」と、目先の課題にとらわれた政府の姿勢を批判している。(ジャーナリスト 白井俊郎)