アイリスオーヤマは、いかにして家電メーカーにまで成長したのか?

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転職者に実力を発揮させる工夫とは?

   なぜ、同社が「人事の力」を重視するようになったのか――。

   その背景には、石油危機があるという。1970年ごろ、同社の主力商品は、稲の苗を育てる「育苗箱」などのプラスチック製の農業資材だった。大阪の工場から北海道や東北へ輸送するとコストがかさむため、72年、宮城県に工場をつくった。

   しかし、翌73年に第4次中東戦争が始まり、原油価格が急騰。問屋から大量の注文が来て出荷は拡大したが、その注文は実需を反映していなかった。そのため、値崩れが発生、創業の地である大阪の工場を閉鎖し、従業員を解雇することになった。

   この経験から「二度と人員削減はしない」と決意。そして、「会社が良くなると社員が良くなり、社員が良くなると会社が良くなる仕組みづくり」という企業理念を掲げるようにした。

   「人事の力」は、外部から来た人材も支えている。同社はテレビやエアコン、洗濯機などを製造販売する家電事業へ参入するにあたり、パナソニックや三洋電機など電機大手から人材を多く採用した。

   転職者に実力を発揮させる工夫として、東京の浜松町駅や大阪の心斎橋駅など、電機大手に勤めていた社員が通いやすい場所にオフィスを構えた。

   また、現場経験者に最後までプロジェクトを託し、生え抜き社員とスキルや発想を相互に補完することで、多くの新製品を開発した。開発スピードも驚異的に速いそうだ。

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