日本株が歓迎お祭り騒ぎ! 予想上回る日銀短観、大企業製造業復活は本物? エコノミストが指摘「期待できる」「いや、『偽りの夜明け』に喜ぶな」

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注目の企業の物価見通し、日銀の政策修正に影響は?

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日本銀行の植田和男総裁(日本銀行動画チャンネルより)

   一方、同欄では、日本経済新聞社特任編集委員の滝田洋一記者が、企業の物価見通しを取りあげた。

「あれっ。今回の短観では、企業の物価見通しに意外感が。3月調査に比べて『鎮静化』しているのです。1年後、3年後、5年後の販売価格見通しをみると、前回調査比マイナス0.4ポイント、マイナス0.4ポイント、マイナス0.5ポイント。かなりの低下ぶりです。足元では輸入物価が下落していることから、今後の価格転嫁への自信が今ひとつの様子です」

   と指摘。また、

「物価全体の見通しも、前回調査比マイナス0.2ポイント、マイナス0.1ポイント、0ポイント。物価見通しの水準も2.2%、1.7%、1.6%と、3年後、5年後には2%を下回ります。
植田和男日銀総裁は2%物価に『確信』を持てることを、金融緩和の見直しの条件として挙げました。この調査結果からは、企業は確信を持ちきれていないようです」

   と、今回の短観結果が、日本銀行の金融緩和の修正にどう影響を与えるか注目されるとした。

   ニッセイ基礎研究所上席エコノミスト上野剛志氏も、企業の物価見通しに着目している。

   上野氏はリポート「日銀短観(6月調査)~景況感は幅広く改善、設備投資も堅調、価格転嫁の鎮静化はまだ」(7月3日付)のなかでこう述べている。

「注目された販売価格判断DI(大企業)については、足元で販売価格への転嫁の勢いはやや和らいでいる。ただし、仕入価格と比べて販売価格の鈍化ペースは鈍い【図表2】。
これまで価格転嫁が遅れぎみであったことから、マージン(採算)回復に向けた動きが続いているとみられる。先行きも製造業では仕入れ価格ほど販売価格の上昇圧力が鈍化しない想定となっている」
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(図表2)大企業・製造業の仕入・販売価格DI(ニッセイ基礎研究所の作成)

   そして、注目の物価見通しについてはこう指摘する。

「なお、価格判断と関連して、企業の物価見通し(全規模)はやや下振れしたが高止まりしている。具体的には、1年後が前年比2.6%(前回比マイナス0.2%ポイント)、3年後が2.2%(同マイナス0.1%ポイント)、5年後が2.1%(同プラスマイナス0.0%ポイント)となっている。
下方修正は最近の物価上昇率の上昇一服を受けたものとみられるが、それぞれ(日本銀行の)物価目標である2%を上回った状況が続いており、企業の価格・賃金設定への影響が注目される」

   日本銀行は、2%の物価上昇率を維持しながら、賃金と物価の好循環を目指しているわけだが、この数字は大幅金融緩和の修正につながるのかどうか、判断に苦しむといったところなのか?

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