2023年のお中元商戦が例年以上の熱気に包まれている。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行してにぎわいムードが高まり、来店客も増えていることが大きな要因だ。
百貨店各社とも、アフターコロナを見据えた独自のコンセプトで話題性のある商品をとりそろえている。一方、今夏は電気料金の値上げで、ひときわ「暑い夏」が予想されることから、「ひんやりスイーツ」など冷感を楽しめるラインアップが注目を集めている。
高島屋、色鮮やかなアイスやサマーケーキ 松屋、もちもちした口当たりの「れんこん菓子」
高島屋は「例年以上の暑さが予想されるからこそ、うれしい『冷感』『サッパリ』グルメ」をうたい、色鮮やかなアイスやサマーケーキを今年の目玉の一つとしている。有名パティシエ、鎧塚俊彦さんが手がけたケーキ(5832円)などが注目されている。
また、電気料金の値上げで節電マインドが高まっていると見て、「常温で長期保存ができるグルメ」とし、サイダーや缶詰の詰め合わせ(いずれも3240円)など実用的な商品もそろえている。
松屋は「アフターコロナはみんなで集まって味わうギフト」と呼びかけ、家族や友人がそろってテーブルを囲み、楽しめるような食品を豊富にそろえた。老舗そば店の鴨せいろ(6588円)などが人気だ。
また、節電対策にもなるとして、冷やしておいしいスイーツも数多く準備。レンコンのでんぷんなどから作られていて、もちもちした口当たりが楽しめる「れんこん菓子」(5292円)などをPRしている。
本格的なアフターコロナで、ふるさとへの帰省客増えそう? ギフト需要も高まるか
逆に、節約志向が高まっている今だからこそ、「とっておきの一品を贈りたい」という需要もあるとして、少しぜいたくな品をそろえたというのが京王百貨店だ。
老舗店の自慢の味を届けるギフトを数多くそろえている。贈答品の代表的存在ともいえる桐箱入りの高級マスクメロン(1万9440円)などが注目を浴びている。
また、近鉄百貨店は、にぎわいムードが高まっているといっても、コロナ禍で広まった「イエナカ」時間を大切にするライフスタイルは定着していると判断。自分自身や家族用の「おうちグルメ」を充実させている。イチゴづくしのボトルスイーツの詰め合わせ(3888円)などが人気だ。
なお、ハースト婦人画報社が約4000人を対象に行った意識調査によると、今夏にお中元や夏ギフトなどを贈る予定があると答えた人は約7割に上るという。
本格的なアフターコロナに移りつつある今夏は、ふるさとへの帰省客も大きく増えるとみられており、お中元をはじめとしたギフト需要はいっそう高まりそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)