ダイバーシティのある企業文化が醸成され、「平均勤続年数が長い」「お互いを認め合う」「心理的安全性高い」
さらに、こうした取り組みに積極的な企業には特徴があるのだろうか。調査では、上の図表のような項目について、あてはまるかどうかを聞いた。その結果、最多は「平均勤続年数が長い/伸びている」で、「70.1%」だった。次いで、「働きやすい環境である」が「66.9%」、「お互いを認め合う/尊重し合う風土がある」は「66.9%」、「上司に相談しやすい/風通しが良い」が「66.5%」という結果が得られた。
同社は、「LGBTQ+当事者の従業員への取り組みを行う企業は、ダイバーシティのある企業文化が醸成され、当事者のみならず誰もが働きやすい環境につながっていると考えられます」としている。
他方で、取り組むことによってどのような変化が生じたかについて質問した。その結果、全体では、「SOGI(性自認・性的指向)ハラスメントが減少した」(27.4%)、「LGBTQ+など多様な性のあり方が尊重されるようになった」(27.0%)、「誰もが働きやすい環境になった」(22.4%)、「あらゆるハラスメントが減少した」(19.6%)という結果が得られた。
最後に、勤め先で、LGBTQ+の従業員に対する制度や福利厚生、職場環境づくりに関する取り組みをしていくにあたって、どのような支援があればよいと思うか――。そんな質問を問いかけた。その結果、全体で最多になったのは「LGBTQ+について知り、理解するための研修がある」(28.2%)。次いで「何から始めたら良いか具体的な方法が分かる教材などがある」(24.8%)、「LGBTQ+の従業員がどういった悩み・困りごとを抱えているか参照できる事例集がある」(24.6%)という順番になった。
同社では「取り組み実施にあたって、LGBTQ+当事者への理解を深めたいという意志や、取り組みに向けた事例やノウハウがまだ少なく、研修や教材、データなどが求められていることがわかりました」と分析している。
調査の総括として、同社では以下のようにまとめている。
「取り組みを実施する企業割合はまだ少ない状況が明らかとなりましたが、取り組んでいる企業においては、企業全体の従業員満足度が高い傾向にあることが明らかとなりました」
「取り組みを実施する企業の70.1%が自社の特徴に『平均勤続年数が長い/伸びている』を挙げました。これは取り組みを行っていない企業の約1.5倍にあたります。また、取り組みを実施することによる具体的な変化として、全体では『SOGI(性自認・性的指向)ハラスメントが減少した』(27.4%)が最多となりました。地域による差もみられ、都市圏外の地方企業においては25.0%が『従業員の職場環境に対する満足度が上がった』と回答し、都市圏の企業(8.8%)の2.8倍となりました」
「特に地方企業においてその変化は顕著であると考えられます。企業において人材不足が課題となる中、従業員の働きやすさや職場への満足度を向上させることは非常に重要です。LGBTQ+当事者の従業員への支援が企業の成長にもつながるという中長期的な視点で取り組むことが大切であると言えます」