貿易収支が赤字の日本、為替介入しても円安は止まらない
果たして、政府・日本銀行は為替介入に踏み切るのだろうか。エコノミストはどうみているのか。
ヤフーニュースコメント欄では、第一生命経済研究所主席エコノミストの藤代宏一氏が、
「現在のドル円レートは昨年、(2022年)9月に政府が為替介入(円買い・ドル売り)に踏み切った水準である145円に急接近しています。政府・日銀は為替介入に向けて臨戦態勢に入ったとみられ、145円を跨ぐような事態に発展すれば為替介入が実施されても不思議ではありません」
と指摘。しかしながら、
「一方、昨年とは異なり、現在は原油価格の大幅下落を背景に輸入物価が落ち着いているため、為替介入に踏み切る動意(相場が動き始めそうな気配)が(昨年対比)で乏しいのも事実です。WTI原油価格は2022年央に120ドル近辺で推移していたのに対し、現在は70ドル前半です。これらを踏まえると、政府が為替を静観する可能性も十分に考えられます」
と、昨年の「悪い円安」と違うと、踏み切らない可能性もあるとした。
同欄では、時事通信社解説委員の窪園博俊記者も、
「為替市場で急ピッチに円安が進み、政府の円安けん制が強まっています。昨年秋の介入水準に近いこともあり、為替市場としてはドル売り・円買い介入が警戒されるのは当然とも言えるでしょう」
と、切迫しているとしながらも、日本経済がかかえる問題点に注目した。
「ただ、介入はもちろん為替市場では重大なイベントながらも、それ自体はあくまでも対症療法に過ぎないことを理解する必要はあるでしょう。そもそも円安が進むのは、内外金利差の拡大観測が根強いこと、日本が巨額の貿易赤字を抱えている、というファンダメンタルズに基づくものです。
つまり、介入は相場に影響があるとしても、一時的であり、内外金利差が開いたままで、貿易収支も赤字状態だと、円安になりやすいことに変わりはありません。もし、円安を止めたいのなら、内外金利差が拡大する要因である日銀の大規模緩和の修正が必要であるとも言えます」
と、円安ストップには日本銀行の政策修正が欠かせないとの見方を示した。