外国人従業員3割以上の企業はわずか4%... 54%の中小企業「社内で外国語が話せる人」は1割ほど

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   人手不足で悩んでいる中小企業が少なくないなか、働き手としての外国人がなくてはならない存在になってきた。

   ところが、外国人従業員が3割以上の企業は、全体のわずか4%にとどまることが、SaaSレビューサイトのCapterra(キャプテラ)の調べでわかった。2023年6月15日の発表

   調査は、255人の中小企業の経営層と管理職などを対象に、日本の中小企業のグローバル人材の採用や、社内での外国語の使用など組織内での国際化について聞いた。

海外で展開する中小企業の51%、新規の海外進出や取引を検討

   国内の経済活動の規模が年々縮小傾向にあることで、海外市場へのビジネス展開を視野に入れる企業が増えている――。そうしたなか、Capterraの調査によると、海外で事業を展開している中小企業の51%が、新規の海外進出または海外取引を検討していることがわかった。

   近年は、デジタル革命によって企業の国際化の取り組みを支援する、さまざまなツールやリソースを利用できるようになった。それが、中小企業の海外進出を後押ししている半面、原材料・部品の供給不足や円安などの経済情勢は多くの企業の国際化に影響を及ぼしているとみられる。

   そこで調査では、「会社がどのような形態で海外ビジネスを展開しているのか」を聞いたところ、「海外の企業と取引」すると答えた人が64%と、圧倒的に多かった。

   「海外に拠点」を設けるとの回答が28%、「現地で製品やサービスを提供」すると答えた人が23%で続いた。【図1参照】

   コロナ禍の影響もあって、「越境EC」は販売拡大の手段として注目されているが、調査で「ECで海外向け販売している」と答えたのは12%にとどまった。ネット通販が盛んな小売業などの分野でも、同じ割合だったという。

   Capterraは、

「インターネットによる注文を、海外から受けることが容易になってきたにもかかわらず、各国の関税への対応や配送の問題などで、越境ECの導入をためらう企業もあるのではないか」

   とみている。

図1 中小企業における海外事業展開の形態(Capterra調べ)
図1 中小企業における海外事業展開の形態(Capterra調べ)

   また、回答者の多くは海外展開を進めるうえで最も重要な要因は、「海外ビジネスパートナーとの関係構築」と「市場調査・分析能力」(いずれも47%)であると考えており、次いで「戦略立案・実行能力」(46%)が僅差で続いた。

   一方、海外展開を進めるうえで最大の課題は、「市場情報の不足」が32%。次いで「法律・税務・規制などの複雑さ」、「人材の確保」が、いずれも31%となった。

海外展開する中小企業の40%、外国人を採用

   では、実際に日本の中小企業では「どれほどのグローバル人材を採用しているのだろうか」--。

   調査で、「あなたの会社では、国際的な人材を採用していますか?」と聞いたところ、中小企業の経営層や管理職などの40%が「職場に外国籍の労働者がいる」と答え、4分の1(25%)は「外国語を話す日本人や海外で暮らした経験のある日本人を雇用している」ことがわかった。「日本人の海外在住者をリモートワークで雇用している」が16%、「外国籍の海外在住者をリモートワークで雇用している」と答えた人も9%いた。

   その一方で、「国際的な人材を採用していない」と答えた人は30%にのぼった。【図2参照】

図2 中小企業におけるグローバル人材・外国人労働者の採用状況(Capterra調べ)
図2 中小企業におけるグローバル人材・外国人労働者の採用状況(Capterra調べ)

   ただ、これらの割合は比較的高いように見えるが、いくつか留意点があるという。Capterraによると、

「まず、回答者の30%が国際的な人材をまったく採用していないと答えており、海外で事業を展開している企業としては高い割合だと思われます。また、自社で外国人を雇用していると答えた人に対して、『これらの外国人が全従業員数の、どの程度を占めているか』を聞いたところ、大多数 (82%) が1割以下であると回答しました。外国人が全従業員の31%以上である企業は4%にとどまります」

   としている。

   また、外国人従業員の国籍は、最大の取引先国である中国が45%で、次いで米国が36%、韓国の(25%と続いた。同様に、外国人を採用している企業のうち、外国人従業員の主な国籍が「中国」と答えた人は47%で、次に米国が25%、ベトナムが21%、韓国の19%となった。

   さらに、すべての経営層・管理職などに「外国人を雇用する際の最大の課題は何だと思うか」と聞いたところ、40%が「文化の違いによるコミュニケーションの課題」と回答。次いで、「ビザや労働許可などの手続きの煩雑さ」が25%、「言語の壁」が24%と続いた。

78%が、英語の社内公用語化を検討していない

   企業のグローバル化に欠かせない外国語の使用だが、調査では日本の中小企業には国籍に関係なく、外国語を話せる従業員がとても少ないことがわかった。

   回答した経営層や管理職などの半数以上にあたる54%が、「社内で日本語以外の言語を話せる人」は1~10%と答えた。次いで多かったのは「11%~20%」で、19%だった。

   また、「外国語を話せる従業員が多い部署はどこですか?」との問いに、「営業部」と答えた人は51%で最多。

   次いで、「マーケティング部」(12%)や「開発部」(11%)、「人事部」(6%)、「経理部」と「法務部」がともに4%で続いた。【図3参照】

   他言語を使う必要性は、業務によって異なるようだ。

図3 外国語を話せる従業員が多い部署(Capterra調べ)
図3 外国語を話せる従業員が多い部署(Capterra調べ)

   さらに、調査では「英語の社内公用語化」について聞いた。

   それによると、中小企業の導入率はまだまだ低く、回答者のわずか5%が「自社で適用されている」と答えた。

   残りの78%が英語を社内公用語にすることを「検討していない」と回答。15%が「現在検討中」、8%が「過去に検討したことがある」と答えた。

   また、現在英語を社内公用語としていない人のうち、半数以上(54%)が英語の公用語化に「賛成しない」一方で、22%が「賛成する」と答えた。「どちらでもいい」と答えた人も24%いた。

   英語の社内公用語化は、言語の壁を克服し、多国籍のスタッフとのコミュニケーションを促進、円滑にするだけでなく、グローバル市場へのアクセスを容易にするなど多くの利点がある。

   最近は、日本に国際的な人材を呼び込む必要性から、再び議論が活発になっているもよう。しかし、実態はなかなか前進していないようだ。

   Capterraによると、ビジネスの国際化に翻訳ツールは重要だが、コミュニケーションギャップの解消、リモートワーカーの共同作業の支援、複数拠点にまたがるプロジェクトの把握などには、他のツールが必要になるとしている。

   なお、調査は全国の中小企業に勤める経営者や役職者を対象に、2023年3月28日~4月3日にインターネットで実施した。

   ただし、回答者は「日本在住者であること」「18歳以上66歳未満であること」「2~250人規模の中小企業の経営者、役員または係長職以上の役職者であり、自社の海外事業を把握していること」の条件に合致すること。また、2023年4月時点で設立してから4年以上経過している会社であること。有効回答数は255人。

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