一般公道を使った電気自動車(EV)のレース「フォーミュラE」が日本で初めて、東京都江東区の東京ビッグサイト周辺で、2024年3月30日に開かれることが正式に決まった。
東京都が誘致を進めてきた一大イベントの日本開催自体はもちろんのこと、日本の公道で本格的な国際格式のレースを行うのは初めてとあって、その意義は大きい。
来シーズンで10周年のEV版「F1」 全17戦のうち、第7戦が東京で...市街地の一般公道を閉鎖したコースに
モータースポーツファンはもちろん、フォーミュラEに関心のない人々にとっても、環境に配慮した新世代のレースがあることを知ってもらう、よいチャンスになるだろう。
フォーミュラEは「F1」の愛称で親しまれるモータースポーツの最高峰「フォーミュラ1」のEV版だ。国際自動車連盟(FIA)が主催する新たなモータースポーツとして2014年にスタートし、来シーズンは10周年の記念すべき年となる。
EVは排気音や排気ガスを出さないため、レースは原則として市街地の一般公道を閉鎖して行う。FIAによると、2023年シーズンはメキシコシティー(メキシコ)、ディルイーヤ(サウジアラビア)、ハイデラバード(インド)、ケープタウン(南アフリカ)、サンパウロ(ブラジル)、ベルリン(ドイツ)、モナコ(モナコ)、ジャカルタ(インドネシア)、ポートランド(米国)、ローマ(イタリア)、ロンドン(英国)で全16戦を予定している(一部の都市は複数開催)。
また、FIAによると、来シーズンはこれらの都市に加え、新たに東京とバレンシア(スペイン)の開催が決まった。東京は全17戦のうち、第7戦となる。11チームから24人のドライバーが参戦するという。
全17戦のうち、第4、5、13戦の三つの開催地はまだ決まっていない。かつてアジアではソウル(韓国)も開かれた実績があるが、今のところ未定のようだ。
小池都知事「大会はゼロエミッションビークルの普及に弾み」 参戦チームの技術力と環境意識の高さに注目
誘致を進めた東京都の小池百合子知事は「フォーミュラEは電気自動車の市街地レースとして、世界の主要都市で開催されている。この大会をサステナブルな次世代都市へと発展しつつある東京ビッグサイト周辺で開催する。国内初、世界最高峰のレースの迫力を間近で見て、応援しよう」などとするコメントを発表した。
環境重視の小池知事は「大会はゼロエミッションビークル(排ガスゼロのクルマ)の普及に弾みをつけると同時に、東京の魅力を世界に発信し、国際的なプレゼンスを高める絶好の機会となる」とも発言している。
フォーミュラE開催団体の最高経営責任者ジェフ・ドッズ氏は「東京はフォーミュラE開催の記念すべき10周年のハイライトになるだろう。フォーミュラEの開催を希望する世界の都市と我々は議論を進めている。今年の後半には、追加の開催都市を発表できるだろう」とコメント。東京での開催は他のライバル都市との競争を勝ち抜いた結果であることを示唆している。
来シーズンの参戦車両の正式発表はこれからだが、日本の自動車メーカーからは日産自動車がこれまで通り参戦する予定だ。
今シーズンでいえば、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、ジャガーなど日欧の大手自動車メーカーが参戦。そのほか、日本ではあまり馴染みのないインドのマヒンドラ、中国のNIO、シンガポールが拠点のエンビジョンなどの新興メーカーも、今期に続き参戦が予想される。
フォーミュラEへの参戦はメーカーの技術力と環境意識の高さを物語るだけに、スポンサーの広告効果も大きい。東京でこれらの参戦メーカーやスポンサーを身近に見ることができるのも、レースの醍醐味だろう。(ジャーナリスト 岩城諒)