あなたが思うブラック企業の特徴は?  3位「給料が低すぎる」、2位「残業代が出ない」...1位はやっぱり?

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   「あなたが思うブラック企業の特徴を教えてください」――。

   Webメディア・マーケティング事業を展開するシフィット(東京都渋谷区)の運営する転職・就職に関する情報メディア「転職カモ」が、637人の男女に聞いたところ、第3位は「給料が低すぎる」、第2位は「残業代が出ない・割増賃金がない」、第1位は「過度な労働時間」「過重労働」だった。2023年6月15日に発表した。

   ブラック企業と思われる会社は、過度な労働時間や過重労働、著しく低い給与体系など、会社側の法令を遵守する意識の低さがあることがうかがえる。

   調査結果から、回答者の体験談をもとにした具体例とあわせて、ブラック企業の特徴をランキングしている。

「昼休みも取れずにデスクで食事をすることがほとんど」

   ブラック企業とは、労働者の労働条件や権利を無視し、過度な労働時間や過酷な労働環境を強いる企業のことを指す。

   従業員の健康や福祉を軽視しがちで、適切な労働条件や休息を提供せずに、利益追求を最優先とする姿勢を持っている傾向があり、労働基準法や労働契約法に違反する行為が頻繁に行われるのが特徴とされる。

   また、上下関係が強く、パワーハラスメントやいじめも横行することが多く、労働者の権利や人権が軽視されがちで、健全な労働環境が欠如している企業のことをいう。

   調査によると、「あなたが思うブラック企業の特徴を教えてください」(複数回答)との問いの第1位は、「長時間労働、拘束時間が長い、過重労働がある」だった。234人が、そう回答した。【図1参照】

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図1 第1位は「長時間労働、拘束時間が長い、過重労働がある」だった(シフィット調べ)

   回答者からは、

「人手が足りていないから、うまく仕事がまわらず長時間の残業などを上司から強いられる」(女性、35才~39才。製造業・生産管理)
「常に多忙で、昼休みも取れずにデスクで食事をすることがほとんどで、十分な休息を取る時間もなく...。もちろん毎日残業で帰るのは早くて23時過ぎ、終電というのもザラ。気が休まらずにしんどかったです」(男性、45才~49才。情報通信業・エンジニア)
「週末や休日にも残業を強制され、家族や友人との予定をキャンセルせざるを得ない時がままあった。仕事とプライベートのバランスなんてあったものではない」(男性、30才~34才。小売業・営業)
「毎日残業が4時間以上ある。周りもそれが当たり前だと思っている人が多い」(男性、25才~29才。広告業・営業)

   といった声が寄せられた。

   ブラック企業では、従業員は通常の労働時間を超えて残業を強いられ、休憩時間が不十分であったり、深夜労働や休日出勤が頻繁に要求されたりすることがある。

   なお、長時間の拘束や過重労働が起こる理由はさまざまだが、主だった理由としては、

(1)生産性や利益最大化の追求
(2)業務量の増加・業務効率の低下
(3)慢性的な人員不足やリソースの不適切な配分
(4)上司や管理職の不適切なマネジメント
(5)遅くまで仕事している人ほど評価される社風

   などがあげられる。

   これにより、社員は仕事に追われ、プライベートや休息の時間を犠牲にしなければならない状況になっているとみられる。

ブラック企業は「残業代が出ない、割増賃金がない」

   ブラック企業の特徴の第2位は、「残業代が出ない、割増賃金がない」だった。195人が、そう答えた。

   回答者からは、

「繁忙期に仕方なく、みんな残って残業しているにもかかわらず、残業代は誰一人支給されません」(女性、30才~34才。小売業・経理)
「固定給に残業代が含まれていましたが、割増賃金分の1.25倍を残業時間に掛けて計算したら少なかったことがあります」(男性、25才~29才。広告業・企画)
「終業時間になったら総務の人がタイムカードを勝手に切る。そのあとに残業した分は支払われることはない」(男性、25才~29才。製造業・営業事務)

   との声が寄せられた。

   社員が法定の労働時間を超えて働いたにもかかわらず、残業代や割増賃金が適切に支払われないのは「違法行為」にあたる。

   調査を手掛けたシフィットは、

「入社する前に労働契約書を細かく確認し、残業代や割増賃金に関する明確な記載があるのかをチェックすることが、自分の身を守ることに繋がります」

   とアドバイスする。

   第3位は、149人が答えた「給料が低すぎる」だった。寄せられた声には、

「経営状況が悪化すると、ここぞとばかりに給与をカットしてくる」(男性、35才~39才。 生活関連サービス業・マーケティング)
「役職や責任に比べて給料が極端に低い」(男性、45才~49才。福祉・マネージャー)
「慢性的な人材不足で常時一人分以上の業務量をこなしているのに、給料は一向に増えません。常々割りに合わなさを感じていてしんどいです」(女性、25才~29才。娯楽業・経営企画)

   と、自身の努力や働いた時間に対して給料が低すぎると感じている人が多いようだ。

   仕事量に対して給料が低すぎる状況では、働く意欲も低下。生活費や将来への備えに十分な資金を確保することが難しくなるため、不安が膨らむ。

   第4位は、「休日が少ない、有給休暇が取れない、休みにくい」で、106人が答えた。

   カレンダーでは休日であっても出勤を求められたり、有給休暇も取りにくかったりすることは、職場ではよく起こることではある。 会社や部署としては、社員が十分な休息やプライベートの時間を確保するために調整できる体制を敷いておくべきだろう。一方で、社員はあらかじめ、休日出勤の有無や有給消化率を確認しておくことが大事だ。

   回答者からは、

「繁忙期に有給を取ろうとするとあからさまに上司が困った態度を取ってきて...。もちろん暗黙の了解で有給は取れなくなります」(男性、25才~29才。生活関連サービス業・マーケティング)
「うちで働く人は休むことに罪悪感や不安を感じるようになっていきます」(男性、45才~49才。福祉・マネージャー)
「休日出勤を強いられるのは日常茶飯事。休日でも上司から電話がかかってきたりしてゆっくり休むことができない」(女性、25才~29才。娯楽業・経営企画)

   などの声があった。

「セクハラ」「パワハラ」「いじめ」が横行...

   ブラック企業には、「セクハラ」や「パワハラ」、「いじめ」などが横行している状況があるのも特徴だ。第5位は、「ハラスメントが横行している」。88人が回答した。

   ハラスメントが横行しているような会社は、上司や経営陣が適切な監督・管理体制を構築せず、ハラスメント行為に対して厳正な対応を取らない傾向にある。

   たとえば、役員や上司が調査もせずに、「被害」を断定。「加害者扱い」して、社員を退職に追い込むなどは、そのこと自体がパワハラ行為にあたる可能性があることを認識していない場合がある。

「上司が事あるごとに部下をきつく叱責し、侮辱的な言葉を言ったり、怒りに任せて度が過ぎる発言を繰り返すような環境でした。私もよく上司から嫌味な言葉を投げかけられ不当に扱われたことがあります」(女性、30才~34才。不動産業・営業)
「特定の人が上層部から非難されたり、日常的に嫌がらせの対象にされていたりした」(男性、25才~29才。製造業・企画開発) 「無茶なノルマを要求され、常に不安やプレッシャーとの戦いでした」(男性、25才~29才。金融業・営業)

   などの声があった。

   第6位は、「雇用契約が違法・不透明」なこと。75人は答えた。

「この会社で働くことになった際に雇用契約書のような書面は一切なく、口頭での合意のみでした」(女性、25才~29才。小売業・店舗スタッフ)
「フルタイムの正社員で入社したのに雇用保険や社会保障が適用されていなくてびっくりした」(男性、20才~24才。飲食サービス業・ホール・キッチン)
「面接の時『たまに残業が発生する』とだけ聞いていたが、実際は給与に月30時間の残業代が含まれた契約になっていた」(男性、25才~29才。情報通信業・デザイナー)

   との声が寄せられた。

   ブラック企業では「雇用契約書がない」「労働条件通知書が交付されなかった」というように、労働時間や休日、賃金などの労働条件が明確に示されないことがある。

   また、「事業責任者だから残業代は支払わない」「1日の所定労働時間は10時間とする」「残業代は給料に含まれている」といった労働基準法に違反していたり、曖昧で不当な労働条件を定めている可能性がある。

   第7位は、「離職率が高い、常に求人募集している、採用人数が多い」で、56人がそう答えた。ブラック企業には、働く社員が不満を抱えがちなため、従業員の入れ替わりが激しいという特徴があるようだ。

   離職者の穴を埋めるために採用を繰り返して、その都度大量の人員を募集。多数の社員を採用しようとすることがあったり、労働力を安く確保するため、また過酷な労働条件に耐えられるとされる若者をターゲットにしたりする可能性もあるという。

   寄せられた声には、

「新しく入ってきた人は半年後には半分以上いなくなっている」(女性、30才~34才。製造業・営業)
「離職率が高いので常に人材不足。それを補うためにいつも大量に求人募集している」(男性、25才~29才。飲食サービス業・接客業)
「過酷な労働環境についていけなくて、みんな辞めてしまう」(男性、35才~39才。小売業・マネージャー)

   などがあった。

「仕事を何よりも最優先」「情熱を持って働け!」というワンマン会社

   第8位は、「勤怠管理がいい加減」(52人)。

「会社独自の勤務記録票に自分で入力して月に一度総務にメール送信するだけ」(男性、30才~34才。情報通信業・エンジニア)
「残業は15分単位で計算されるはずなのに、抜けているときが結構ある」(女性、30才~34才。卸売業・営業事務)
「朝も夜も好きな時間に出社して、好きなときに帰っていく人もいましたが、上司はまったく注意せずでした」(男性、25才~29才。情報通信業・営業)

   労働時間や休日の管理といった勤怠データを適切に管理していないほか、「勤怠管理システムやタイムカードを導入していない、手入力でシフト管理している」といったことが当たり前に行われていて、これが残業代未払いや長時間労働につながる原因になっているケースもあるという。

   第9位は「募集要項に精神論が多い」(34人)。

「求人内容に『忍耐力』や『犠牲精神』という言葉が踊っていた」(男性、25才~29才。製造業・経営企画)
「『気合い、根性』というフレーズを多用した募集要項には寒気がしました」(男性、25才~29才。金融業・営業)
「仕事を何よりも最優先、情熱を持って働け!という社風のワンマン会社」(男性、25才~29才。小売業・販売・サービス)

   「情熱を持とう」「飽くなき挑戦」「スピード成長できる」「フレッシュな職場」というように、仕事への情熱やチャレンジ精神、自己成長などの表現が頻繁に使われる会社も要注意かもしれない。

   第10位は、31人が答えた「コンプライアンス意識を著しく欠いている」だった。

   労働基準法や労働安全衛生法などの労働法令を軽視し、それどころか自社で定めた就業規則をも守らないというケースがみられる。

「会社の雰囲気が昭和的でコンプライアンス問題が見逃されやすい組織体制でした」(男性、30才~35才。卸売業・情報システム)
「コンプライアンス意識がまったくなく、精神論が根付いていてサービス残業も多く、労働基準法に違反している」(男性、35才~39才。医療・医薬業 営業)
「コンプライアンスを守ろうという考えは存在しない会社。パワハラ上等のことを口走る上司がいて、従業員のモチベーションは地を這うくらい低く、ネガティブな雰囲気が蔓延している」(男性、35才~39才。情報通信業・社内SE)
「従業員の安全や健康がないがしろにされている」(男性、40才~44才。運輸業・ドライバー)

   「実労働時間と実支給額を計算したら、最低時給を割っていた」といった、辛らつな意見もあった。

「やる気さえあれば誰でも採用される会社」はヤバい?

   採用条件が緩く、採用倍率が低いこともブラック企業の特徴の一つだろうか。

   第11位は、「採用条件が緩い・採用倍率が低すぎる」(28人)。応募者の経験や能力を適切に評価せず、人的リソースの不足を補うことを第一に考えて採用する傾向がある。

「やる気さえあれば誰でも採用される会社」(男性、25才~29才。不動産業・営業)
「採用基準はまったくない会社です。学歴は当然不要で、金髪にピアスなど、いろんな人が入ってきます」(女性、40才~44才。製造業・総務)
「面接さえ行けば即採用、ふつうにコミュニケーション取れる人なら誰でも採用されます」(男性、30才~34才。生活関連サービス業・経理)

   第12位は、「トップダウンで社長や上司が絶対の社風」(19人)。

「完全なトップダウン経営なので、現場の意見はまったく取り入れられません」(男性、25才~29才。小売業・業務管理)
「社長の一方的な意思決定によって、それまでの仕事がひっくり返ることもしばしば。ついていけない社員は日々疲弊して辞めていく」(男性、40才~44才。情報通信業・営業企画)
「社員の意見や改善案が受け入れられることは稀で、多かれ少なかれ全員が不満やストレスを抱えています」(女性、40才~44才。生活関連サービス業・営業事務)

   第13位は、「働く意欲やヤル気がない従業員が多い」(18人)。

「毎日黙々と仕事をするだけ。やりがいや働く意欲を持ち続けるのは難しい」(男性、40才~44才。製造業・ライン作業)
「上司や先輩にやる気のない人が多く、モチベーションが上がらない」(男性、20才~24才。情報通信業・プランナー)

   社内や組織内のストレスや不満の蓄積で、モチベーションの低下や、働く意欲やヤル気が低い社員が多い会社だ。

「社員旅行を強制される・代金が自己負担」って、どういうこと?

   第14位は「業務内容が不自然で曖昧」な会社だった。回答者のうち、14人がそう答えた。

   寄せられた声には、

「他の人に任せたほうが良さそうな仕事を振ってくる」(男性、30才~34才。情報通信業・ディレクター)
「基本どんな仕事でも担当者任せ。業務内容の細分化ができていない」(男性、30才~34才。製造業・商品開発)
「方向性のわからない仕事が多いです。その都度仕事のやり方を考えながらこなしていくので業務負荷がかかり、結果的に仕事の質やスピードが低下してしまいます」(女性、25才~29才。宿泊業・広報宣伝、オペレーター)

   などがあった。

   業務内容が不自然で明確でなく、具体的な指示や目標が不明瞭なので、社員は自分の役割や責任を正確に把握することが難しくなるため、業務の優先順位が曖昧になり、働き方が非効率になりがちになる。

   第15位は「社員旅行を強制される・社員旅行の代金が自己負担」(9人)。

「年一回ある社員旅行は半額自腹...。半分でも自己負担したくないのに」(女性、25才~29才。総合商社 総務・事務)
「毎年必ずある社員旅行はほぼ強制参加。仕事とプライベートを分けたい人は苦労します」(男性、35才~39才。人材サービス業・営業)

   会社によっては、社員の給与から「旅行積立金」として一定額を天引きされるという。「業務外」の活動としながら、強制参加だったり、給与が減って負担が増えたりすることに不公平感を抱く社員も少なくないとみられる。

   第16位は「会社のWebサイトがない・内容が薄すぎる」で、7人がそう回答した。

   Webサイトは企業の重要な情報発信やブランディングの手段となっているが、ブラック企業ではそういった認識が顕著に欠如している傾向にある。

   過剰なキャッチコピーばかりでWebサイトの掲載内容が薄いのはよくないが、情報の乏しいのも、会社の透明性や信頼性に欠ける印象を与える。

「公式ウェブサイトが存在しない」(男性、20才~25才。建設業・営業)
「会社の公式サイトに掲載されている事業内容や福利厚生についての情報に矛盾がある」(女性、45才~49才。製造業・経理)
「Webサイトの内容が非常に薄く、会社概要や事業内容についての情報がほとんど載っていない」(男性、30才~35才。医療・福祉 介護職)

   なお、調査は社会人経験のある18歳以上の人を対象に、2023年4月24日~5月19日にインターネットで実施した。有効回答者数は、637人。

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