建設業で働く人が大きく影響を受ける、「建設業2024年問題」への対応が急務だ。
そんななか、防犯カメラや監視カメラなどの遠隔監視システムのセーフィー(東京都千代田区)は2023年6月7日、建設業の管理職689人を対象に、建設業の24年問題に向けた働き方改革の実態調査を実施し、その結果を発表した。
調査によると、24年問題について、全体像を把握している人は22.1%、一部を知っている人は31.8%と、あわせて53.9%はこの課題を理解しているものの、その対策について26.4%は「特に何も対策を行っていない」という。
背景には「どこから始めれば良いのか判断がつかない」という状況があるようだ。こうした課題の解決に向けて、今回の調査では、遠隔カメラなどを用いて、現場に行かずとも離れた場所からモニタリングなどをおこなう「遠隔臨場」という手法について聞くと、導入企業は16.4%とまだ少ないが、回答者からは「遠隔臨場」への期待の声も挙がっている。
期待されている「遠隔臨場」とは?
この調査は2023年4月11日から13日まで、全国の35歳から70代までの建設会社に勤める管理職層の男女689人にインターネットリサーチを行ったもの。
2024年から建設業では時間外勤務上限が制限され、「建設業の2024年問題」として、たびたび取り上げられている。この問題について、内容をどの程度知っているかを聞いた。調査によると、詳しく全体像を知っている人は「22.1%」、一部を知っている人は「31.8%」となり、あわせて「53.9%」の人が把握していることがわかった。つまり、2人に1人が問題を把握しているといえるだろう。
続いての質問で、「現状、残業時間の上限規制を守るために、何か対策をしているか」と聞くと、「特に何も対策を行っていない」とした人は「26.4%」になった。これは、今回の調査対象である建設業の管理職の4人に1人が法改正について何も対策を行っていない、ということになる。
さらに、「残業時間の上限規制について、どの程度深刻だと考えているか」という質問では、「63.9%」が「少なからず深刻だと考えている」と回答した。同社では、
「24年4月には『改正労働基準法』における時間外労働の上限規制が適用される中、対策実施有無における危機感は感じているものの、実際にどこから始めれば良いのか判断がつかないといった回答も見られました」
と説明している。
では、「建設業の2024年問題」を解消する手段はあるのだろうか。期待されているのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)。なかでも、注目されているのが「遠隔臨場」という手法だろう。
「遠隔臨場」とは、ウェアラブルカメラやネットワークカメラを活用し、現場に行かずとも離れた場所から『遠隔』で、「材料確認」「段階確認」「立会」といった『臨場』を行う、ということを意味する。
この「遠隔臨場」の認知度を調べたところ、「すでに知っており導入している」と答えた人は「16.4%」、「すでに知っているが導入してはいない」は「30.9%」となり、あわせて「47.3%」が内容自体を把握していることがわかった。
一方、「『遠隔臨場』は今後の建設業に必要だと感じているか」を聞くと、「十分(感じる)」は「33.4%」、「そこそこ(感じる)」は「51.5%」となり、あわせて「84.9%」がその必要性を感じているようだ。
では、「遠隔臨場」にはどういう効果を期待しているか。1位は「移動・待機時間の削減」(74.8%)、2位は「人材不足の解消」(52.8%)、3位は「安全性の向上」(36.5%)という結果が得られた。
同社では、
「国土交通省の推奨する『遠隔臨場』を進めることで、生産性の向上や働き方改革の推進への期待が伺えます。『遠隔臨場』は時間外労働の上限規制への対策につながるだけでなく、建設業界で慢性的な課題とされている人材不足の解消や安全性の改善に寄与することにも期待が集まっています」
としている。
また、「『遠隔臨場』を導入しない理由」については、
1位 「費用対効果がわからない」(43.2%)
2位 「通信環境の整備が難しい」(28.2%)
2位 「資金面に余裕がない」(28.2%)
4位 「必要な用具がなにかわからない」(15.5%)
4位 「個人情報の管理など難しいイメージがある」(15.5%)
6位 「ICTに関する知見がない」(15.0%)
という理由が上がっている。