停滞する経済に打撃覚悟で、大幅利上げに踏み切った英中銀
こうしたなか、英イングランド銀行(中央銀行)は6月22日に突然、政策金利を0.5%引き上げ、5.0%にすると発表した。高止まりするインフレの抑制に向け、通常の2倍に当たる大幅利上げで金融引き締めを加速させる決断に踏み切った。
この「サプライズ利上げ」に米ウォール街は衝撃を受け、株価が大きく下落した。
厳しい金融引締めは、英国経済をさらに悪化させることは確実だ。世界の金融市場がユーロ圏と英国の景気後退を強く意識することとなった。
こうした事態をエコノミストはどう見ているのか。
ヤフーニュースコメント欄では、ニッセイ基礎研究所研究理事の伊藤さゆり氏が、英国中央銀行の「サプライズ利上げ」について、
「今回は経済・物価見通しの改定や総裁会見がない会合であり、3会合ぶりとなる0.5%の利上げは異例の決定と言えるだろう。
背景には、現時点で最新となる5月時点の英中銀の見通しが、CPI(消費者物価指数)も、サービス価格も、賃金上昇率も、実績値よりも0.5%も低く、予測の誤りと政策対応の遅れへの批判が高まっていたことがある」
と説明。そのうえで、
「昨日(6月21日)公表のCPIは、前年同月比8.7%%、食品価格に至っては同18.4%も上昇しており、生活費危機は深刻化している。
スナク政権は、年初にインフレ率半減を優先課題に掲げながらも、有効な手立てを打てず、低支持率が続く。BOE(英イングランド銀行)への信頼感も、先週公表されたサーベイ調査によって、大きく損なわれていることが確認されている。
停滞する経済に打撃を及ぼすことを覚悟のうえで、大幅利上げに踏み込まざるを得ないところまで、政権も中銀も追い込まれている」
と、英国経済の深刻さを指摘した。