ハワイに恋して、現地ツアー会社を経営 夢を実現した女性社長のアフターコロナに向けた奮闘記/パイナップルツアーズ・宮崎さえ子社長

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「コロナ禍だけは、本当にヤバいと思った」

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ホノルルビーチ

   宮崎さんのアイデアは豊富だ。

   なんとパイロットの資格を取得して、それを生かしたセスナ遊覧ツアーを企画した。ほかにも、「エホマイ」というハワイの伝統的な海への祈りの儀式とイルカといっしょに泳ぐドルフィンスイムの体験ツアーも組んだ。

   まだある。ウミガメや熱帯魚のスノーケリングスポットでのマリンアクティビティ体験。1000フィートの上空から一気に飛ぶパラセイルに、リムジンを仕立てたオーダーメイドツアーやウェディング・プラン。

   あるいは、通訳や空港送迎から視察や商用でのツアーの手配、ホテルやレストランの予約などのさまざまなサービスを用意して、日本人旅行者をもてなすのだ。

「旅行業でみなさまのバケーションをサポートするにあたり、私の基本的な考えは『毎日バケーションのように生きる』ことです。自分が幸せでなければ、周りを幸せにすることはできない。だから、私は自分が幸せに生きて、その溢れる幸せをみなさまのバケーションに届けられるように、ツアーやハワイでの生活を考えています。みなさまのリクエストに、できる限りお応えさせていただきます。
さらに、ホノルルでの手配という利を活かした『きめ細やかなサービス』をモットーに、生まれ育った日本の心を忘れず、日本人としてのコミュニケーションや礼儀、慣習を第一に考えています。日本からのお客様に、とにかくハワイを満喫してもらいたい」

   宮崎さんは、そう話す。

   ところが、順風満帆に思った矢先の2010年11月、不慮の事故で2歳になる最愛の息子を失った。

   ブログには、「事故から3週間、集中治療室で頑張ったのですが、天使になってしまいました。本当につらくて、苦しいですが、子供のためにも一生懸命、家族力を合わせて生きていくことにしました。どうぞ、今後ともわたしをよろしくお願いいたします。仕事も、もっともっとがんばります」と、綴られている。

   そして、再びの試練が新型コロナウイルスの感染拡大だ。

「はじめは、どこにでもあるニュースだと思いました。でも、本当に深刻だと感じたのは、2020年3月にお客様がだんだん減ってきて、最後のお客様が帰ったあとでした。ハワイに人がいなくなり、お客様がいない。電話もならない。そんな状況が続いて、『これは、ただごとじゃない』と。たとえばテロや災害のあとは、一時的にお客様が減りますが、それでも私のような小さな旅行業者はいつでも忙しかったんです。それが......。このコロナ禍だけは『本当にヤバい』って思いましたね」(宮崎さん)
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