企業の価格転嫁意欲は非常に強い、6月に再び上昇?
「消費者物価指数の伸びは、6月に再び拡大する可能性が高い」と指摘するのは、第一生命経済研究所シニアエグゼクティブエコノミストの新家義貴氏だ。
新家氏は「消費者物価指数(全国・23年5月)~再エネ賦課金引き下げでコアは鈍化も、コアコアはさらに上昇率拡大」(6月23日付)のなかで、消費者物価指数のグラフ【図表1】を示しながら、6月に再び拡大する理由について、こう説明する。
「6月1日より、電力大手7社において電気料金(規制料金)の大幅値上げが実施されており、この影響でCPIコアはプラス0.2~0.3%押し上げられる見込みだ」
「その先についても、企業の価格転嫁意欲は非常に強い。過去の円安などによるコスト上昇の未転嫁分が残っていることに加え、電気代やガス代の上昇、人件費負担の増加等が値上げの理由として挙げられるようになるなど、値上げの動きが止む気配はまだない。 値上げに対する批判の声がかつてと比べて小さくなっている分、価格引き上げを行いやすくなっていることに加え、足元で再び円安が進んでいることも値上げを後押しすることになるとみられる」
そして、こう結んでいる。
「仮に、政府による電気代、ガス代補助金が予定通り9月に半減、10月に終了となれば、2023年末段階でもCPIコアがプラス2%台後半で推移し、前年の裏が出る24年2月には再びプラス3%台乗せといった展開もあり得る状況である。物価上昇が落ち着くにはまだ時間がかかりそうだ」