急激な円安、財務官「適切に対応」と口先介入も効果ナシ...「為替介入」あるか? エコノミストが指摘「日銀が緩和修正しない限り、介入は無駄撃ち」

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

「一方的」かつ「急速」に進む円安の原因は、日銀の大規模緩和

kaisha_20230626164631.jpg
日本経済はどうなる?(写真はイメージ)

   こうした財務省の神田財務官の発言、エコノミストはどう見ているのだろうか。

   ヤフーニュースコメント欄では、時事通信社解説委員の窪園博俊記者が、

「神田財務官が、足元で進む円安について、『(動きが)急速で一方的』と述べました。これは従来よりも円安をけん制するトーンが強まったものだと受け止められます。財務省・金融庁・日銀は先月(5月)末、1ドル=140円台にドル円が乗せた段階で『三者会合』を開催し、円安の動きをけん制しています。それ以降も円安が進み、さらに足元でやや円安のピッチが速いことから、一段とけん制トーンを強めたとみられます」

と説明。そのうえで円安をストップするためには、

「このまま円安がまさに『一方的』かつ『急速』に進むと、政府・日銀は昨年(2022年)秋と同様にドル売り・円買いの介入を余儀なくされる可能性があるでしょう。ただし、円安を招く要因は、欧米が利上げを進めるのに対し、日銀が大規模緩和を堅持。内外金利差の拡大観測が根強いためです。仮に介入に乗り出しても金利差が開いた状態では介入の有効性は減衰します。日銀の緩和スタンスを修正することが望ましいと言えます」

   と、為替介入よりも、日本銀行の政策修正が不可欠だとした。

kaisha_20230626164654.jpg
異次元金融緩和はいつ修正される?(写真はイメージ)

   同欄では、第一生命経済研究所主席エコノミストの藤代宏一氏も、

「これは日銀が金融緩和を維持することの説明を難しくさせます。実のところ昨年はドルが主要通貨に対して総じて強く、そうした中で円安が進行していました。日銀の金融緩和が円安を促したのは事実ですが、金融引き締めを講じていたユーロやポンドなども通貨安が進行していたため、円安の主因が日銀の金融緩和にあるのかは、何とも言えない状況でした」

   と解説。そして、今後については、

「しかしながら、今年はドルが主要通貨に対して『下落(ドル安)』する中、円に対しては上昇(ドル高)となっています。換言すると、円の弱さが際立っているということです。そうなると政府・日銀の議論において『急速で一方的』な円安を止める手段として、日銀の緩和修正が候補にあがるのではないでしょうか」

   と、こちらも日本銀行の緩和修正が議論に上がってくるという見方を示した。

   日本銀行の政策修正といえば、日本銀行は6月26日、今月15~16日に開いた金融政策決定会合の「主な意見」を公表した。それによると、長期金利と短期金利に操作目標を設ける「イールドカーブ・コントロール」という今の金融政策についてもさまざまな意見が出され、「運用を見直す必要はない」という意見の一方で、「早い段階で見直しを検討すべきだ」とする意見が出たことが明らかになった。

   金融緩和の継続が「全員一致」で決められたと発表されたが、「異論」も出されていたわけだ。次回の金融政策決定会合は7月27日~28日に開かれる。どんな論議が行われるか、注目だ。(福田和郎)

姉妹サイト