京都市で2026年度導入予定の「空き家税」...「知らない」66.2% 「空き家問題」解消へ、いまこそ考えなければ

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   京都市では、空き家や別荘など、ふだん人が住んでいない住宅に課税する、いわゆる「空き家税」(非居住住宅利活用促進税)を、2026年度にも導入する見通しとなっている。

   空き家の所有者に課税することにより、空き家の有効活用(第三者への賃貸や売却など)を促すことで、住宅供給を増やしたり、安全な生活環境を構築したりするねらいがある。

   全国に先駆けて導入に踏み切った、京都市の空き家税。その認知度や、賛否など、どのように受け止められているのだろうか。

   不動産メディア「幸せおうち計画」を運営するAZWAY(東京都豊島区)は、10代から60代以上までの男女500人を対象に、「空き家税に賛成か反対か」などを聞いたアンケートを行い、その結果を2023年5月22日に発表した

   この調査によると、「空き家問題」を知らない人は36.8%のほか、「空き家税」を知らない人は66.2%で「反対」は51.4%など、今後あらためて「空き家問題」を考えていく必要がありそうだ。

  • どうなる?空き家の問題(写真はイメージです)
    どうなる?空き家の問題(写真はイメージです)
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もし「空き家」を相続したら...「売る」273人、「自分で住む」98人、「他人に貸す」77人

(AZWAYの作成)
(AZWAYの作成)

   高齢化が進む日本では、2030年には空き家が430万戸になると言われている。そこでまずは単刀直入に、「空き家が20年間で2倍近くに増加しており、2030年には430万戸になると予測された問題を知っているか」と質問したところ、「はい(知っている)」と答えたのは、「63.2%」で過半数を超えた。今後高齢化がさらに進むなかで、「空き家」の問題を認知している人が多いようだ。

(AZWAYの作成)
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   続いて、もし自分が「空き家」を相続したら、どのように対処をするか聞いた。最多は「売る」で273人、次いで「自分で住む」が98人、「他人に貸す」が77人となった。

   同社は、「空き家を相続した場合、半数以上の人が『売る』ことを念頭に置いていることがわかります。一方『放置する』を選んだ人も28人おり、『誰も住む人がおらず売れる可能性も低いためどうすればわからない』という意見がみられました」としている。

(AZWAYの作成)
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   つぎに、「京都市が全国で初めて導入を決めた空き家税について知っているか」も聞いた。その結果、「はい」は「15.8%」、「いいえ」は「66.2%」、「聞いたことはある」は「18%」となった。空き家税への賛否を聞くと、「賛成」は「48.6%」、「反対」は「51.4%」と拮抗したかたちとなった。

(AZWAYの作成)
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   賛否については、以下のような理由が寄せられている。

●賛成の理由
・限定的に賛成です。人が住めるような状態であれば税金をとる必要はないと思います。ただ、明らかに人が住めないような家には税金をかけても良いと思います。(40代男性)
・税金がかかることにより、放置される空き家が減るかもしれないため。また、空き家が減らなかったとしても税収が増えるという利点があるため。(40代女性)
・税金が課されるとなると、空き家の所有者は空き家を放置せずに適切に管理する方向に動くと思われるから。(50代女性)

   同社によると、賛成の理由としては、「人が住めない家には税金をかけても良い」、「放置される家が減る可能性がある」、「適切に管理する人が増えそう」といった意見が挙げられるなど、「税金を課すことでプレッシャーとなり、行動する人が増えることを望んでいることがわかる」とみている。

●反対の理由
・そもそも住む人がいないし、売ったり貸したりできなくて、空き家になってるのに空き家税は、ひどいと思う。(30代男性)
・個人の所有物に対して何でもかんでも税金掛けすぎ。(40代男性)
・空き家が発生する理由というのには、各人でいろんなケースがあると思う。ただの怠慢によるものであれば罰則的な意味も込めて空き家税を課すこともありかもしれないが、そうでないならば通常の固定資産税の枠内での課税とすべきであると思う。(40代男性)

   同社によると、反対の理由としては、「色々な理由があって空き家になっているのに、そこにさらに課税されるのはしんどい」、「固定資産税で十分」、「税金をかけすぎ」という意見が見られ、「ケースバイケースで対応すべき問題を一律で課税対象とすることに、違和感を持っている人が多いことがわかる」とした。

「空き家税」メリット・デメリットの意見は? 「行動に移そうとする人が増える」、「負のサイクルにしかならない」

(AZWAYの作成)
(AZWAYの作成)

   最後に「空き家税が空き家問題を解決すると思うか」と質問した。すると結果は、「はい(解決する)」が「17.4%」、「いいえ(解決しない)」が「36.8%」、「どちらともいえない」が「45.8%」という結果になった。

   それぞれの回答者には、「空き家税」のメリットとデメリットを聞いた。

●空き家税のメリット
・崩壊の危機がある空き家の処理を適切にされるのであればメリットになるかと思います。(30代女性)
・空き家をどうにかしようと思い、行動に移そうとする人が増えるのではないか。(30代女性)
・税収が得られるというメリットがある。(50代男性)
●空き家税のデメリット
・空き家の相続費が負担になり放置された空き家が増え、負のサイクルにしかならないと思います。(30代男性)
・売れない土地に空家をもっている人は税金が高くなってどうしようもない状態になると思います。(40代女性)
・空き家の所有者の負担が増えるので、空き家の相続を放棄する人が増えたり、徴収した税金がきちんと活用されているのかの不安がでてくる。(40代女性)

   同社では以下のようにまとめている。

「京都市が全国で初めて導入を決定した『空き家税』について知らない人は全体の66.2%で、『反対』の人は51.4%という結果に。実際に自分が相続する可能性のある家が『売れない』『借り手がつかない』人たちが『反対』の声を上げています。一方『賛成』の人は、自分が相続した場合『売る』予定の人が多く、現在おかれている状況によって賛成と反対が分かれていることがわかります。
ただ、『空き家税』が『空き家問題』を解決すると答えた人は17.4%と少なく、負担増で相続放棄が増える可能性を指摘する声も多く挙がっています。仮に相続放棄された空き家が増え続けた場合、行政が対応できるのかも含め、今後の空き家問題について考える必要がありそうです」

   なお、調査は2023年4月12日から21日まで、10代から60代以上までの男女500人(男性:289人、女性:211人)を対象として、インターネットで回答を集めた。回答者の属性は10代が0.2%、20代が12.2%、30代が34%、40代が34%、50代が15.2%、60代以上が4.4%となっている。

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