4人に1人が入社3年未満で地方に転職 「実家に住める」けど、「給料が少ない」のかも

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   UターンやIターンによる就職経験者の4人に1人が入社3年未満で地方に転職していることが、求人情報サービスを展開するクリエイト(東京都千代田区)の「Uターン・Iターンによる地方就職事情」調査でわかった。2023年6月21日の発表。

   20代の8割以上が地方で就職したことに「満足している」という。また、補助金・助成金についても、4人に1人が受け取っていることが判明。その金額はおよそ30万円以上50万円未満だった。

Uターン就職「地元の居心地の良さ」が理由

   地方就職者の実情がうかがえる調査結果となった。

   Uターン(一度生まれ育った場所以外で勤務したのちに、再び出身地に戻って働くこと)や、Iターン(生まれ育った場所で勤務したあと、出身地以外の場所に移住して働くこと)で、地方(東京圏、大阪圏、名古屋圏を除いた地域)に就職している20代~40代の男女500人に、就職のきっかけや時期、不安に思っていたこと、満足度などについて聞いた。

   まず、Uターンで就職した人(n=329人)に、そのきっかけを聞いたところ、最も多かったのは、「住み慣れた土地で働きたい」(37.4%)だった。次に、「実家から通勤したい」(19.5%)、「親に勧められた」(16.7%)、「生活コストがかからない」(13.7%)と続いた。

   「ワークライフバランスを整えたい」と答えた人は12.2%、「知り合いの紹介」という人も11.2%いた。【図1参照】

   地元の居心地の良さを理由に、Uターン就職を決めた人が多いことがわかった。

図1 Uターン就職のきっかけ「住み慣れた土地で働きたい」が37.4%で最多(クリエイト調べ)
図1 Uターン就職のきっかけ「住み慣れた土地で働きたい」が37.4%で最多(クリエイト調べ)

   また、Iターンで就職した人(n=171人)にきっかけを聞くと、「実家から離れて自立したい」と答えた人が17.5%と最も多く、Uターンとは真逆の結果になった。

   「自然豊かな環境で働きたい」や「恋人・パートナー・友人がいる、離れたくない」(いずれも、12.9%)、「住み慣れた土地で働きたい」(11.7%)といった回答もあり、クリエイトは「地方ならではの環境や人間関係がIターン就職の理由の一つになっているようです」とみている。

Iターン就職のきっかけ「実家から離れて自立したい」(17.5%)が最多(クリエイト調べ)
Iターン就職のきっかけ「実家から離れて自立したい」(17.5%)が最多(クリエイト調べ)

   次に、Uターン・Iターン就職したタイミングについて聞くと、「入社10年以上15年未満」と答えた人が14.6%と最も多く、一定のキャリアを積んだ後に転職する人が少なくないことがわかった。

   しかし、「入社1年未満」(11.4%)と答えた人も1割を超えており、「入社3年未満」でデータを見ると、およそ4人に1人が「入社3年未満」という早い時期からUターン・Iターン就職を経験していることがわかる。【図3参照】

図3 Uターン・Iターン就職のタイミング「入社10年以上15年未満」が最多の14.6%(クリエイト調べ)
図3 Uターン・Iターン就職のタイミング「入社10年以上15年未満」が最多の14.6%(クリエイト調べ)

   また、UターンとIターンで比べると、Uターン就職の人が最も多かった「入社10年以上15年未満」では、Uターン就職の人が14.9%、Iターン就職が14.0%と、Uターン就職の人よりもIターン就職の人のほうが0.9ポイントだけ少なかった。

   ところが、「入社5年以上7年未満」はIターンで10.5%と、Uターン就職(8.8%)の人よりも1.7ポイント多く、「入社7年以上10年未満」ではIターン就職の人は14.0%と、Uターン就職(9.7%)の人よりも4.3ポイントも多かった。

   Iターン就職は「入社25年以上」の人でも7.6%と、Uターン就職(4.0%)の人より3.6ポイントも多いなど、Iターン就職の人はUターン就職よりも遅いタイミングで行動に移していることがうかがえた。【図4参照】

図4 Iターン就職はUターン就職の人より遅いタイミングで行動に移している(クリエイト調べ)
図4 Iターン就職はUターン就職の人より遅いタイミングで行動に移している(クリエイト調べ)

社会人経験が豊富な40代でも「早めに始めたほうが良い」と思っている

   では、実際にUターン・Iターン就職は早めのほうが良いのか――。

   調査で、「Uターン・Iターン就職は、早めにしたほうが良いと思いますか」(n=500人)と聞いたところ、Uターン就職の人で「そう思う」と答えた人は28.3%、「どちらかというとそう思う」が38.6%で、6割超が「早めのほうが良い」と考えていることがわかった。

   「どちらかというとそう思わない」が23.1%、「そう思わない」は10.0%だった。

   また、Iターン就職の人に同じ質問をすると、「そう思う」と答えた人は14.0%、「どちらかというとそう思う」が52.0%だった。「どちらかというとそう思わない」が21.1%。「そう思わない」も12.9%いた。

   Uターン・Iターン就職のタイミングを年代別にみると、「そう思う(早めのほうが良い)」と答えた人は、20代で22.7%、30代で25.5%、40代で22.4%。「どちからというとそう思う」は、20代が43.2%、30代は41.4%、40代は44.2%だった。

   若い人ほど、「早めにしたほうが良い」と考える傾向にあるが、社会人としての生活が長く、経験も豊富な40代でも「早めに始めたほうが良い」と思っていることがわかった。

   「どちらかというとそうは思わない」と答えた人は、20代で20.5%、30代は22.3%、40代が22.7%。「そう思わない」という人も、20代で13.6%、30代は10.8%、40代が10.7%だった。

   「早めに始めたほうが良い」と思う理由を聞くと、

「早ければ早いほど選択肢が増える」(27歳男性、栃木県)
「仕事の慣れや気力を考えると、若いに越したことはない」(43歳男性、栃木県)
「早くから仕事を始めたほうが出世もしやすいから」(47歳男性、宮城県)
「地域に馴染むのに時間がかかるから」(47歳男性、静岡県)
「女性はとくに結婚、出産などの時期がかぶると大変なので」(36歳女性、鳥取県)
「年齢を重ねてからの転職は条件が悪くなる」(44歳女性、香川県)
「家族が増えると自由がきかなくなる」(41歳男性、北海道)

   といった声があった。反対に、「早めにする必要はない」と思っている人にその理由を聞くと、

「社会人1年目は大変なことも多く心が折れかけるので、ある程度基礎スキルが固まってからのほうがいい」(27歳女性、佐賀県)
「ある程度キャリアと実績を積んでから、地方で能力を活かしたほうが良いと思う」(48歳女性、山形県)
「田舎に帰ると収入が減る可能性があるので、都会で十分貯蓄をしてきたほうが良い」(49歳男性、青森県)
「自分が好きな時にしたほうが良いから」(36歳女性、静岡県)

   などの声が寄せられた。

20代~40代とも「給料が少ない」ことに不安

   Uターン・Iターンで、地方で就職することへの不安はどうか。これについて聞いた(n=500人)ところ、地方での就職に「不安があった」と答えた人は、79.0%にも及ぶことがわかった。「不安はなかった」は21%。

   また、「地方就職に対して、どのような不安を抱えていましたか」(n=395人、複数回答)との問いに、20代~40代とも約半数の人が「給料が少ない」ことを不安視していたことが明らかになった。

   20代では、「職場で人間関係をうまく築けるか」(38.9%)や「通勤時の移動が大変」(25.0%)なことに不安を感じている。「企業の知名度が低い」(30.6%)点を気にする人が多いこともわかった。

   一方で、30代は「休日の過ごし方」(17.5%)や「パートナー・友人と会えなくなる」(15.9%)など、プライベートなことに不安を感じているようす。40代は、「やりたい職業・職場が見つからない」(36.1%)と答えた人が目立った。【図5参照】

図5 20代~40代とも約半数の人が「給料が少ない」ことを不安視(クリエイト調べ)
図5 20代~40代とも約半数の人が「給料が少ない」ことを不安視(クリエイト調べ)

   では、実際に地方で就職してみて、その実情はどうだったのか――。 「地方での就職に満足しているか」(n=500人)との問いに、74.8%(「とても満足している」18.0%と「満足している」56.8%の合計)の人が「満足している」と答えた。

   「あまり満足していない」は17.0%、「満足していない」と答えた人は8.2%だった。

   年代別にみると、20代の満足度は81.8%(「とても満足している」15.9%と「満足している」65.9%の合計)と、8割を超えた。【図6参照】

図6 20代の満足度は8割を超えた(クリエイト調べ)
図6 20代の満足度は8割を超えた(クリエイト調べ)

就職前に抱えていた「給料」の不安は解消されている?

   さらに、Uターン・Iターン別に満足している点(複数回答)を聞くと、Uターン就職の人は「実家または」実家近くに住める」(34.4%)ことを、またIターン就職の人は「給料」(26.4%)が1位だった。

   不安に感じている人が多かった「給料」だが、Iターン就職の人は「満足度」が高いようだ。Uターンは5位だった。

   2位は、どちらも「職場での人間関係」(Uターン25.7%、Iターン24.0%)だった。Iターン就職の人は「自然豊かな環境」が同率の2位。Uターン就職の人の3位は「生活にかかるコスト」(23.3%)だった。【図7参照】

図7 Iターン就職の人は「給料」への満足度が高い(クリエイト調べ)
図7 Iターン就職の人は「給料」への満足度が高い(クリエイト調べ)

   また、「地方での就職時に、国や自治体、民間企業などからの補助金や助成金を受け取りましたか」(n=500人)との問いに、およそ4人に1人にあたる24.0%の人が「受け取った」と答えた。

   「受け取っていない」人は76.0%。Uターン就職の人は26.1%が、Iターンの人は19.9%が、補助金・助成金を受け取っていることがわかった。

   受け取ったおおよその合計金額は、「30万円以上40万円未満」と答えた人と「40万円以上50万円未満」と答えた人が、いずれも17.5%と最も多かった。

   Uターン・Iターン別にみると、Uターンは「30万円以上40万円未満」が19.8%で最多。Iターンは「40万円以上50万円未満」が23.5%で最も多かった。

   調査では、地方に就職して驚いたことを聞いたところ、

「同じ県でも方言が違った」(29歳女性、長野県)
「交通系ICカードが使えない」(30歳女性、山口県)
「冬は除雪作業が生活を一変させる」(39歳男性、北海道)
「怒っているような話し方だけど、本当は優しい人が多かった」(45歳女性、茨城県)
「同僚の名前を苗字ではなく、下の名前で呼ぶこと」(49歳女性、沖縄県)
「飲み会に行く前にみんな一たん家に帰る。直接会社から行かない」(47歳女性、鹿児島県)

   などのエピソードが寄せられた。

   なお、調査は全国のUターン・Iターンで地方の会社に就職している20代~40代の男女500人を対象に、2023年3月24日~28日にインターネットで実施した。

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