社長の高齢化と後継者不足の問題が深刻になっている――。
帝国データバンク(東京都港区)が2023年6月15日に発表した「全国『社長の年齢分析調査』」によると、全国の社長の平均年齢は60.4歳。社長の引退の年齢は68.8歳で、高止まりしているという。
同社では、団塊の世代が75歳を迎える2025年の「事業承継2025年問題」に向けて、社長と後継者のバトンタッチの時期を見据えながら、時間的余裕を持った事業承継を勧めている。
50歳以上の社長80.2% 2017年比で3ポイントの上昇!高齢化進む
「事業承継2025年問題」とは、団塊の世代が75歳を迎えて日本が超高齢化社会に入ると、中小企業庁などによると、後継者不在が深刻になり、およそ127万社の廃業、約650万人の雇用が失われると指摘されている。
今回の調査では、同社の企業概要のデータベース「COSMOS2」(約147万社収録)のうち、2022年12月時点における企業の社長データを抽出し、集計・分析した。
それによると、2022年時点の社長の年代別構成比は、「50代」(28.4%)、「60代」(26.6%)、「70代」(20.2%)、「80代以上」(5.0%)となり、「50歳以上」が「80.2%」を占めた。
2017年時点と比較すると、3.0ポイントアップとなる。
さらに、80歳以上は「5.0%」で、2017年から1.2ポイントの上昇がみられた。一方で、40歳未満は「3.3%」にとどまり、2017年から0.9ポイント減少している。
一方で、社長平均年齢を業種別でみると、どうなるのか。その結果は表のとおりで、「不動産」が62.5歳で最高となった。80歳以上の割合は「9.5%」に上る。また、「サービス」は58.9歳で最も低かった。
同社は以下のように指摘している。
「いわゆる『IT企業』が主に分類され若手起業家が多い『パッケージソフトウェア』では56.1歳となり、全体(60.4歳)を大きく下回っている。
また、上場企業の社長平均年齢は58.7歳となった。最年少社長は、VTuberグループの運営などを手掛けるANYCOLOR(東京都港区、東証プライム上場)の田角陸社長(27歳、2022年調査時点)」
地域別の社長の年齢...東北が高く、東高西低の傾向 平均年齢が若かったのは「三重県」
日本の社長の年齢について、都道府県別でみると、どのような傾向があるのだろうか。調査結果によると、秋田県が62.4歳で最高に。秋田県は1990年のデータと比較すると、プラス8.6歳となり、上昇幅も全国で最も大きい。次いで岩手県(62.3歳、同プラス0.2歳)、青森県(62.1歳、同プラス0.2歳)が続いた。
東北地方は6県すべてで60歳を上回り、上位3県を独占した。
同社は、
「平均年齢が最も低かったのは三重県(59.1歳、同プラス0.1歳)で、2017年から6年連続となった。三重県は2022年時点の後継者不在率が29.4%と全国で最も低く、唯一の20%台であり、事業承継が進んでいると考えられる。
なお、47都道府県のなかで社長平均年齢が前年から低下した地域はなく、地域を問わず社長の高齢化が進行している」
としている。
調査結果によると、社長の平均年齢は60.4歳。これは、2022年も過去最高を更新したといい、高齢化止まらない状況だ。また、社長交代時の平均年齢が68.8歳と、70歳に迫る高水準となっている。
なお、帝国データバンクが集計した2022年度の後継者難倒産によると、その要因として「代表者の病気・死亡」が占める割合が47.8%にのぼり、過去10年間で最も高く、「こうした現状を踏まえると、スムーズな事業承継を実現するためには早期の着手が欠かせないといえる」(帝国データバンク)。
同社では、
「事業承継は急を要するものではなく後倒しにされる場面も少なくないが、突発的に引き継ぐことになれば、自社のみならずステークホルダーへの悪影響も生じかねない。
バトンタッチの時期を見据えながら、時間的余裕を持った事業承継を進める必要があるだろう」
としている。