「前職アピール」は、確実に評価を下げていく
社内で評価される人たちは、ポイントを抑えているものである。まずは、腰が低いこと。これだけでも、人から反発を買うリスクは下げられる。ここで、次の事例を紹介しよう。
<転職者によくあるシーン>
都内に本社がある、東京ネットワークス(仮名)は専門商社である。先月、大手総合商社出身の鈴木君(35歳)がマネジャーとして転職してきた。しかし、社内の評価は厳しく、同僚や部下からも嫌われている。それはなぜか?
鈴木:みなさん、このレベルの仕事では私の前職(〇〇商事)ではまったく通じません。これからは、みなさんの仕事ぶりを見ながら、ビシビシ鍛えていきます!
鈴木:これが会社のやり方ですか? 前職の〇〇商事ではありえないことです。これでは世界を相手に勝負することはできません!
鈴木:前職の〇〇商事のコンペでM銀行の頭取と親しくなって、ゴルフする仲なんだよ。マジであの人やばいわ! 君でも名前くらいは知ってるよね?
鈴木:この会社では議論かみ合わないしホンネをぶつけ合わない。海外じゃ笑われるね。前職の〇〇商事では考えられなかったな!
一流企業出身の人に多い「前職アピール」は、確実に評価を下げていくので要注意。「自分のすごさ」を匂わせて自慢してくる人の「生態」は興味深いが、評価をあげる社員は、前職アピールはしないもの。思慮深く謙遜するのが、普通である。
謙遜できない社員のことを「ボンクラ」と言う。ボンクラは「盆が暗い」と書く。もともとは丁半賭博で使われた賭博用語で、盆の中のサイコロを見通す能力に暗いことを指すが、社内ではボンクラになってはいけない。
本書は、アラサー・アラフォー女性向けに書かれているものの、社内のルールやマネジメントを知りたい人に役立つ一冊といえよう。(尾藤克之)