2024年春卒業する大学生や大学院生を対象とした企業の採用選考が2023年6月1日に「解禁」されたばかりというのに、6月12日時点で内定率が8割に達していることがわかった。
リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」(東京都千代田区)が2023年6月23日に発表した、2024年卒大学生・大学院生が対象の「就職プロセス調査(2024年卒)『2023年6月12日時点 内定状況』」によると、6月12日時点で早くも内定率は80.0%、進路確定率も62.7%と調査開始以来、最速のペースで進んでいる。
ただ、内定辞退者も増えているから、あきらめずにチャンスを狙おう。
内定者、ダントツに高い情報・通信...次いで、製造、サービス業
調査によると、就職内定率(大学院生を除く)の80.0%は、同じ時点の昨年(2023年卒対象)の76.5%を3.5ポイント上回る早いペースだ【図表1】。
内定率を文理別で見ると、「文系」が78.3%(前年比プラス4.6ポイント)、「理系」が84.3%(同プラス1.0ポイント)。男女別では、男性80.7%(同プラス4.8ポイント)のほうが女性79.4%(同プラス2.2ポイント)より少し高い。ただし、6月1日時点では差はもっと多かったから、ここにきて女性の追い込みが目につく。男性陣の踏ん張りに期待したい。
内定取得先の業種をみると、情報・通信業が30.0%と、ダントツに高いことが特徴だ。日本政府が「ChatGPT」など生成AI(人工知能)の開発推進を決めたことに表れているように、ITスキルを持つ人材は世界的に奪い合いが激しく、優秀な学生は早くから海外から誘いの手が伸びるため、IT系企業の選考が早く進むようだ。
次いで、コロナが落ち着いたことで企業活動が活発化した製造業(機械以外、17.8%)、サービス業(14.5%)、機械器具製造業(12.8%)、金融保険業(12.7%)などが上位に並んだ【図表2】。
内定を取得した企業数をみると、平均2.40社で、前年の2.43社よりやや減っている。内定取得者のうち2社以上内定を取得した学生の割合は64.2%で、前年の61.4%よりやや高い【図表3】。
さらに、最速のペースを反映して、進路確定率も6割超の62.7%(同プラス4.3ポイント)と高い水準に達している【図表4】。
周囲の人とも相談し、あきらめずに自分の夢をかなえよう
一方で、昨年以上に内定辞退企業数が多いことも、今年の特徴だ。早くも2社以上を辞退した人が31.9%もいるのだ。内定辞退率は6月1日時点から3.8ポイント増加し、56.9%(昨年比プラス2.0ポイント)と例年以上に高い。
内定取得者の活動実施率も25.2%と、4人に1人が「もっと自分に合った企業があるのではないか」と、就活を続けている。まだまだチャンはあるわけだ。
就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏は、こうコメントしている。
「6月12日時点の大学生(大学院生除く)の就職内定率は、80.0%(プラス3.5ポイント)と、引き続き高い水準となりました。進路確定率は62.7%(プラス4.3ポイント)と、前年同時期と比べてやや高い数値になりました。
引き続き就職活動を実施している学生の割合を見ると、全体の就職活動実施率は37.8%で、内定取得者では25.2%でした。また、内定取得者のうち2社以上内定を保有している学生の割合は19.4%で、複数の内定を保有した状態で進路を検討している様子がうかがえます。
学生からのコメントの中には『現在、内定を頂いている企業に就職するか悩んでいる』『内定を得ることができたが、承諾するかどうかについては現時点では決めかねている』など、進路の確定に迷う様子も見られます。
進路確定に迷っている学生の皆さんは、これまで考えてきた進路選択の軸を改めて確認しつつ、自分のことをよく知る保護者や友人に相談するなどして、納得できる進路を決められるよう、引き続き検討を進めていきましょう」
焦らず、粘り強く、自分らしく働ける職場を目指せば、チャンスが待っている。周囲の人とも相談しながら就職活動を進めていこうと励ました。
調査は、2023年6月12日~19日、2024年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生4567人(大学生3574人・大学院生993人)にアンケートした。(福田和郎)