バフェット氏の日本株投資「わずか3年で3倍に!」 海外メディアも驚いた「ネグレクト企業」にベットした「先見の明」(井津川倫子)

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「バフェットの資産は3倍に!」専門家も驚いた日本「ネグレクト企業」への「賭け」

   バフェット氏が日本商社株に「お金を注ぎ込む」理由は、ズバリ「儲かっているから」です。米メディア・ビジネスインサイダーは、わずか3年の間に価値が3倍近くになったと報じています。

Buffett's Japan bets have nearly tripled in value to north of $17 billion in under 3 years
(バフェット氏の『日本への賭け』で、わずか3年弱で170億ドルにまで増やし3倍近くになった)

   面白いのは、日本株への投資を「bet」(賭け)と称していることです。

   実際、バフェット氏の投資会社であるバークシャー・ハサウェイは、主にアメリカで投資を行っているため、2020年8月に日本の5つの商社株を購入したことは多くの関係者を驚かせました。

   経済専門紙フィナンシャルタイムズも、20年の日本商社株への投資は、「a bet on a handful of neglected enterprises」(ネグレクトされてきた複数の企業への賭け)だと受け止められていた、する専門家のコメントを紹介しています。

   ところが、バフェット氏が最初に購入した時点から、「ネグレクトされていた」5大商社の株式は平均で181%上昇。その結果、バークシャーの保有資産は60億ドルから現在の約170億ドルに膨れ上がり、同社最大のポジションの一部となっているそうですから、バフェット氏の「先見の明」には驚かされるばかりです。

   こうしてみると、私たちは今、「希代の投資家」が行った「世紀の賭け」を、ライブで味わっているということがわかります。20年当時は、バフェット氏の決断を専門家でさえ「賭け」と称したほど。誰がここまで利益を生むと予測したでしょうか?

   私も当時、新聞や週刊誌でバフェット氏が日本商社に投資をしたという記事や、日本経済への楽観的な展望を熱く語るインタビュー記事などを読みましたが、世間の受け止めは「半信半疑」だったと記憶しています。

   「あの時、商社株を買っていたら、今ごろは大儲けしてFIREできたかもしれない」などと、後悔している人も多いかもしれません。私も「先見の明」がなかった一人ですが、それでも、当時、世間から「半信半疑」で受け止められていた投資が、ここまで大きく成長している様子を目の当たりにすると、後悔よりも「あっぱれ」という尊敬の念が先立ちます。

   ビジネスインサイダーは、商社株の価値が数十年ぶりの高値に達していることや、バフェット氏が商社株のことを「ridiculously cheap」(バカげたほど安い)と評価していることも伝えています。

   今のところ、「日本への賭け」が大成功を収めている様子を、専門家は、「winners」(勝者)を選び抜いてきたバフェット氏の長い経歴に、また一つ新たな歴史が加わった、と称していました。

   株式購入は庶民の手が届かない領域に達してしまった感はありますが、バフェット氏が操る「バフェット劇場」のゆくえはどうなっていくのか。これからもニュースをウオッチして、ライブ感を味わっていきましょう。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「pour money into~」「~にお金を注ぎ込む」を使った表現を紹介します。

Tech giants are pouring money into A.I.
テック巨大企業はAIに資金をつぎ込んでいる

Investors pour money into emerging markets
投資家は新興国にお金をつぎ込んでいる

He put a large amount of money into his hobby
(彼は趣味に大金をつぎ込んだ)

   バフェット氏については、「先見の明」だけでなく「広報戦略」の巧みさにも驚かされます。

   購入先を公表すれば「バフェット効果」を狙った投資を呼び込みますし、「長期保有」を宣言すれば、景気後退の局面でも「バフェット氏は手放さない」という安心感で、株価が下落することはないでしょう。

   御年92歳になる「投資の神様」が、長年築いてきた実績と信頼がすべてを物語っています。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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