就職活動や就職後の仕事でAIは使う?使わない? 就活には58.4%が使わない
それでは、就職活動への生成AIチャットの利用はどのように考えているのか?
就職活動に生成AIチャットを使用するかどうかを聞いたところ、「使用する」は「15.8%」で、「たぶん使用する」は「25.8%」となった。あわせると「41.6%」となる。
他方で、「たぶん使用しない」が「17.4%」、「使用しない」が「41.0%」となり、過半数を超える「58.4%」の学生が使用しない派に傾いた。
続いて、生成AIチャットは就職活動に役立つかどうかを聞いてみると、「とても役立つと思う」が「27.2%」、「役立つと思う」が「33.9%」、「どちらかといえば役立つと思う」が「30.3%」となり、あわせて「91.4%」の学生はAIが就職活動に役立つと判断したかたちだ。
具体的な利用方法では、「エントリーシートの作成」が「59.7%」で最多だった。次いで、「自己PR文の作成」が「50.7%」、「情報収集」が「46.3%」、「業界研究」が「43.3%」、「面接対策」が「26.1%」、「その他」が「7.5%」となった。
生成AIチャットの就職活動への利用に関する自由回答を見てみると、
・生成AIを使用する就活は当たり前になっていきそうだけど企業の対応も注目したい
・試しに就活で必要な資料作成に使ってみたけど、クオリティが高いもので驚いた
・就活にAIを用いるのは企業側も同様だと思うので今後使っていきたい
・まだ的外れな回答も多いので信頼性に欠けるし、個人情報の観点に懸念がある
・AIに就活で使用する資料を作らせても企業側にばれた時のリスクが大きい
・生成AIで文章作成して課題提出をしている人がいたが自分のためにならないと感じた
・就活のエントリーシートや志望動機、または自己PRなどをAIに任せるのは危険
という意見が上がっている。
つづいて、生成AI登場による職業観の変化についても質問した。
就職後に生成AIを使用する意欲を聞いてみると、「とても使用すると思う」は「15.8%」、「使用すると思う」が「28.9%」、「どちらかといえば使用すると思う」は「28.0%」となった。あわせて「72.7%」の学生が、就職後に生成AIを仕事で使うと回答した。
就職活動中は「使用しない派」が多かったのに対して、就職後は「使用派」が多いというのもユニークな結果だ。
また、学生たちが生成AIに代替されると思う職種を聞くと、「事務系」が「60.9%」で最多になった。次いで、「ライター系」は「43.2%」、「技術職(開発・エンジニア関連)」が「27.6%」、「管理系」が「27.6%」、「コンサルタント系」は「20.5%」で5番目となった。
さらに「職業観」を深く探るために、代替されると思う職業が「生成AIの職種選びへの影響」を聞いている。それによると、「希望から外す」が「14.9%」、「たぶん希望から外す」が「46.9%」、「希望から外さない」が「19.3%」、「たぶん希望から外さない」が「18.9%」という結果となり、「希望から外す派」は最多の「61.8%」となった。このあたりも、生成AIが社会に与えた影響といっていいだろう。
そのほかにも、具体的に、生成AIの社会への影響に対する意見を見てみると、
・人間の仕事を奪う可能性を検して就活での企業選定や職業の志望が変わってきそう
・AIチャットによってなくなる職種もあれば,新たに作られる職種もあると思う
・AIが人間の仕事を奪うイメージが強いので職業選定は慎重にしていきたい
・優秀な人ほど、AIチャットを上手に活用しているように思える
などが上がった。
これらの調査に対して、「Job総研室長」の堀雅一氏は以下のようにまとめている。
「今後さらにAIの発展や普及が進むことで、就活での使用率は増加すると推測できます。
その裏付けとして、すでに就活で使用した目的では『エントリーシートの作成』や『自己PRの作成』が過半数で上位を占めていることからも見えてきます。
前述した『就活に役立つ』事として、この2つは多くの学生の中でイメージしている傾向がみられ、72.7%が「就職後に仕事で使用する」と回答していること、さらに94.0%が生成AIに対して『ポジティブな印象』を持っているといった回答結果からも、今後就活でAIを使用する学生の数は増えると予測できます」
「そうした時代の転換機とも言えるタイミングで就活をする学生にとって、AIを就活で使用することの是非が問われ、採用する企業側でも対応の変化が問われていくことが推測できる調査結果になりました」