対話型生成AI(人工知能)「ChatGPT」がニュースにならない日はないが、日本企業での生成AIの利用はどの程度進んでいるのだろうか。
帝国データバンクが2023年6月20日に発表した「生成AIの活用に関する企業アンケート」によると、「ChatGPTブーム」が追い風になり、生成AIを活用・検討している企業が6割を超えることがわかった。
しかし、大きな課題も残っている。それは――。
「情報漏洩リスク」を懸念、使用禁止の企業も6%
帝国データバンクの調査は、全国の1380社が対象だ。まず、生成AIを業務に活用しているかどうかを聞くと、「業務で活用している」と答えたのは9.1%だった。また、「業務での活用を検討」している企業は52.0%で、「活用・検討」している企業の合計は61.1%と、6割を超えた【図表1】。
ただし、「業務で活用している」企業9.1%のうち、利用に関する社内ルールがある企業は1.2%にすぎず、その一方では約7倍の7.8%の企業で社内ルールを設けていなかった。生成AIには情報漏洩や著作権侵害、虚偽情報の拡散など多くのリスクがある。その点で、安全上に大きな課題が残る結果となった。
一方、「業務での活用を検討していない」企業は約4分の1の23.3%だった。そのうち、「業務での利用が認められていない」企業が5.6%【再び図表1】。その理由を聞くと、「情報漏洩リスクが懸念されており、グループ全体で使用禁止になっている」(電気機械製造)などの声があった。
また、「活用を検討しているが、現時点では活用イメージが湧かない」という企業もけっこう多く、4割弱(37.8%)と全体の中で最も高かった。企業からは「業務とのつながりがイメージできない」(機械・器具卸売)、「使用したいが、使い方がよく分からない。詳しい社員もいないのでしばらくは静観するしかない」(輸送用機械・器具製造)といった声があがった。
自社の業務に生成AIの活用を前向きに検討していきたいが、現時点では具体的なノウハウがなく、イメージが湧きにくいという実態がみられた【再び図表1】。
さらに活用したことがある、または活用したい生成AIサービス(文章・コード生成AI)を具体的に聞くと、「ChatGPT」(オープン・エーアイ社、米)が87.9%で突出して多かった。次いで、「Bard」(グーグル社、米)が27.2%、「Smartling」(Smartling社、米)が4.7%で続いた【図表2】。