社名の由来は「ハンナ・アーレント」
2023年3月28日に東証グロース市場に上場したArentの株価は、公開価格を25%上回る1802円の初値をつけ、その後も右肩上がりに上昇しています。6月6日は7540円の高値をつけ、現在は7000円前後を推移しています。
Arentは「暗黙知を民主化する。」をミッションに掲げ、建設DXを領域として事業を行うとしています。
建設業界大手は、人口減少による内需縮小、就業者の高齢化、人手不足など、深刻な問題を抱えてきました。しかし、大企業特有の変化を嫌う風土のほか、細分化された多重下請け構造などもあり、全社横断的なDXの取り組みが先送りされてきました。
それが、コロナ禍による業績悪化やそれに伴う中期経営計画の大幅未達などを前に、追い込まれたかたちで改革に着手せざるを得なくなっている会社が増えています。
とはいえ、自社単独では問題を解決することもできず、SIerに高額な費用を支払ってシステム開発を外注することもできず、特定の問題の解決策を持っているベンチャー企業と「共創」関係を作ってシステムを作り、あわよくば外販してコストを回収したいという会社が見られるようになりました。
一時は「基幹システムの刷新」でお茶を濁していたDX界隈も、飛躍的な生産性の向上のみならず、新しい顧客価値の創造を実現すべく、あらためて「本来型のDX」を提案し直しています。Arentもそのような成長市場の一角を担っているといえそうです。
なお、社名のArentは、「エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告」などの著書で知られるドイツ出身の女性思想家ハンナ・アーレント(アレント)の名前にちなんでいるそうです。会社の求人情報には『「労働」に塗りつぶされるな、人間の本質は創造的な「仕事」と「活動」にある』という彼女の言葉が引用されています。(こたつ経営研究所)