たびかさなるセクハラのニュースにはウンザリするものだが、その実態とはどうなっているのだろう?
総合転職エージェントのワークポート(東京都品川区)が2023年6月14日に発表した「セクシャルハラスメントの実態」についてのアンケート調査によると、全国の男女486人のうち、セクハラを受けた人は24.9%に上ることがわかった。
そのうち、47.1%は職場で性的な言動などを受ける「環境型セクハラ」で、行った人は男性上司が多い、ということが明らかになった。
「プライベートな食事と交際の強要」「下品な話題を振る」「飲み会参加を強要」...これ全部ダメ!
この調査は、ワークポートを利用している全国のビジネスパーソンで20代から40代までの男女486人を対象に、2023年5月31日から6月6日まで、インターネットを通じてアンケートを実施した。
同社によると、調査背景として、業界を問わず、過去のセクハラ被害を告発したというニュースを耳にすることが増えている。そんななか、職場におけるセクハラ防止対策が2019年の法改正により強化された。そこで今回、実際にはどれくらいのビジネスパーソンが職場においてセクハラ被害に遭っているのか。セクハラ問題はキャリア形成にどれくらい影響を与えているのか。そういった実態を調査した。
はじめに、調査対象者の男女486人に職場でセクハラを受けたことがあるか聞くと、その結果は「はい」が「24.9%」、「いいえ」は「75.1%」になった。「被害経験者」は全体の3割以下に留まったものの、セクハラ問題の根絶には至っていないことがうかがえる。
続いて、職場でセクハラを受けたことがある人(n=121)には、誰からセクハラを受けたか聞いたところ、1位はダントツで「上司(男性)」となり、「76.0%」に上った。次いで、「同僚(男性)」が「25.6%」、「取引先・顧客(男性)」が「24.8%」に上った。
つぎに、セクハラの種類「対価型」、「環境型」、「制裁型」、「妄想型」の4タイプのうちどれだったか聞いた。なお、それぞれのタイプを説明しておくと、以下のようになる。
対価型セクハラ:何らかの措置を優遇する対価として性的な行為を求める場合
環境型セクハラ:職場での性的な言動や装飾物の設置をする場合
制裁型セクハラ:異性に対して圧力をかけるような態度を取る場合
妄想型セクハラ:相手が自分に好意があると勝手に決め付け、それに基づいた行動をする場合
さて、調査結果を見てみると、多い順に、環境型が「47.1%」、制裁型が「45.5%」、妄想型が「37.2%」、対価型が「15.7%」となった。
それぞれの被害事例を見てみよう。
●対価型セクハラ
「仕事だと呼び出され、行ったらプライベートの食事で交際を迫られた。次に断ったら、仕事に不真面目だと叱責された」(40代・女性・クリエイター)
「上司(男性)が飲み会に参加することをほぼ強要。参加しなかったら冷たくされ、仕事から干される」(40代・女性・コールセンター)
「顧客(男性)から購入時に性的な内容の発言をされた」(20代・女性・接客販売)
●環境型セクハラ
「皆がいる前で上司(男性)から"風俗で働いていそう"と発言される」(30代・女性・事務)
「上司(男性)や同僚(男性)から下品な話を頻繁に聞かされた」(40代・男性・管理)
「未婚であることについて、上司からゲイだと皆の前で言われ笑われた」(40代・男性・営業)
●制裁型セクハラ
「上司(男性)から、"女性の育成は会社の損失、子供を産んだら辞めるように"と言われた」(30代・女性・企画マーケティング)
「生理痛で欠勤した際、上司(男性)から生理事情について細かく尋問され、2時間半ほど別室で説教された」(20代・女性・事務)
「性別で指示が違う。有給申請も女性は申請無しでOKだが、男性は申請と許可が必要」(40代・男性・企画マーケティング)
●妄想型セクハラ
「同僚(男性)から一方的に好意を抱かれ、執拗に食事に誘われたりキスを迫られたりした」(30代・女性・事務)
「2人だけになったときに"お前、俺のこと好きだろ"と言いながら抱きついてきた」(20代・女性・その他)
「同僚(女性)に退勤時に跡をつけられた。嫌がってもしつこく話し掛けられた」(30代・男性・管理)