したたかな最新節税術とは?...東洋経済「富裕層のリアル」、ダイヤモンド「決算書」エコノミスト「逆風の銀行」を特集

外国債券で含み損抱える銀行

   「週刊エコノミスト」(2023年6月27日・7月4日合併号)の特集は、「外債ショック 逆風の銀行」。外国債券を中心とした保有債券に、多額の「逆ざや」が発生しているというのだ。

   23年3月期の銀行決算では、保有する外債の価格が下落し、含み損を抱えたり、損失処理をしたりする内容が目立ったという。

   外国証券を含む「その他証券」の項目では、三菱UFJ銀行が8569億円、みずほ銀行が6676億円、三井住友銀行が3961億円の含み損を抱えていた。

   また地銀では、山陰合同銀行(島根県)808億円、横浜銀行(神奈川県)671億円、第四北越銀行(新潟県)551億円、南都銀行(奈良県)450億円、肥後銀行(熊本県)395億円などで含み損が多かったという

   保有する円貨を米ドルに両替して米国債に投資するのでは、為替の変動リスクをもろに受けてしまうので、地銀では為替の変動リスクを避けるため、同額を米ドル建ての負債というかたちで保有する「スクエア・ポジション」を取るのが一般的だ。

   期間の短い低めの金利で調達し、満期までの期間が長く金利が高めの米国債に投資することで、その利ざやが得られる仕組み。だが、22年初からの急激な米短期金利の上昇により、短期金利が10年債金利(長期金利)を上回るような状態になり、「逆ざや」に陥ったのだ。「銀行経営はこれから大きな正念場を迎える」と警告している。

   「地銀連合」構想を掲げるSBIホールディングス(HD)が提携する地銀9行は、有価証券で含み損を抱えると指摘。この先、店舗や人員削減を含む、さらなるリストラも見込まれるという記事も。

◆相次ぐ地銀の海外拠点の閉鎖

   地銀の海外拠点の閉鎖も相次いでいるという。

   多くの地銀が海外拠点から撤退する一方で、現地での預金や貸し出し業務などの銀行業務が可能な海外支店を持つ国際基準行では、海外拠点を新設する動きもある。地銀の海外拠点の二極化が進むと見ている。

   このほか、銀行の基幹系システムのクラウド化を進める北国銀行(石川県)と、クラウド系への移行をめざす広島銀行の動きを紹介。銀行間のシステムの共同運用は、地銀再編の呼び水になりそうだ、という金融庁関係者の見方を伝えている。

   株価純資産倍率(PBR)が1倍を下回る株式は、投資家が期待するリターンを達成できないとして、東京証券取引所が問題視している。これが、銀行株に与える影響をアナリストが分析。三菱UFJ銀行とみずほ銀行が大幅な増配予想を発表したことで、株価を引き上げ、PBR1倍割れを解消したい表われだと見ている。PBRは、重要な経営指標としてますます注目されそうだ。(渡辺淳悦)

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