「周りがどう思おうが、プロジェクトに一所懸命取り組んだ事実は変わらない」
――川上さんなら、ズバリ、女性にどうアドバイスをしますか。上司に抗議をしますか? 多くの回答者が勧めるように、後任やかつての仲間に「賞のこと聞いたよ。よかったね」とさりげなく声をかけるのがよいでしょうか?
川上敬太郎さん「投稿者さんは『抗議』という言葉を使っているので、いまは怒りの感情が強い状態なのだと思います。まずは一度冷静になって、何に怒りを感じているのか、何が問題なのかを整理したほうがよいのではないでしょうか。
一時の感情だけで抗議してしまうと、投稿者さんの想定とは異なる何らかの事情が判明した際に、軽率な行動だったと後悔するようなことになる可能性もあります。
怒りを感じてしまうのは、思いを込めて取り組んだプロジェクトへの貢献が認められていないことに対してだと思います。しかし、周りがどう思おうが、プロジェクトに一所懸命取り組んだ事実は変わりません。そのプロジェクトがグランプリを受賞したということは、プロジェクト自体は評価されたということです。それは、十分誇れることだと思います。
プロジェクトを主体として考えると、後任の方がしっかり引き継ぎ、社内コンペに応募し、グランプリを受賞できたことはとても喜ばしいことなのではないでしょうか。それは、後任の方がいたからこそ得られた成果であり、プロジェクトのことを第一に考えるのであれば、感謝すべきことのように思います」
――上司に対しては、どう行動したらよいでしょうか。
川上敬太郎さん「一方で、あくまで冷静なスタンスで臨むことを前提に、投稿者さんが感じた不満については、率直に上司に伝えてよいかもしれません。ただ、抗議というかたちで怒りの感情をぶつけるというよりは、自分はそう感じてしまったという事実を伝えたうえで、実際に上司や会社は投稿者さんの貢献についてどう見ているのかを確認することを目的にされてはどうかと思います。
ご自身がどう感じたかを率直に伝えることで、何らかの誤解があるのなら説明を聞く機会が生まれます。それで誤解がとける可能性もありますし、ご自身のほうが何らかの誤解をしていたのであれば、気づきの機会になります。
一方で、単に上司や後任の方の配慮が足りないだけだったのであれば、投稿者さんが感じた気持ちを伝えることで、今後、産休育休を取得する人に同じような思いを抱かせてしまうことを防げるかもしれません」