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企業の「営業戦略」、重点策は「人海戦術」がまだまだ多数派...AI活用はそこまで進まず?!

   御社の営業戦略では、AIの活用を視野に入れていますか?

   東京商工リサーチ(東京都千代田区)が2023年6月15日に発表した「営業戦略・AIツールに関するアンケート」調査によると、アフターコロナにおける企業の「営業戦略」は営業部員の増員といった「人海戦術」がいまだ多数派らしい。AIの活用を考える企業はまだまだ少ないことがわかった。

   AI活用の社内方針では「方針を決めていない」が76.8%となり最多、また、社内のAI活用を推奨している企業は1割未満という結果も出ている。

  • AIへの考えは業種・規模別でさまざま(写真はイメージです)
    AIへの考えは業種・規模別でさまざま(写真はイメージです)
  • AIへの考えは業種・規模別でさまざま(写真はイメージです)

アフターコロナの営業戦略 「担当者の増員」「Webマーケティング導入・強化」「展示会への出店」

   この調査は、2023年6月1日から8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答5565社を集計・分析したもの。なお、資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   まずは、「活性化する経済活動を自社に取り込むため、貴社ではどのような営業戦略を立てていますか?」と質問した。その結果、最多となったのは「営業担当者の増員」が「46.2%」(2016社)だった。

   次いで、「Webマーケティングの導入・強化」が「30.2%」(1319社)、「展示会への出店」が「21.5%」(939社)と続いた。DX(デジタル・トランスフォーメーション)による業務効率化よりも、営業員を増やし、たとえば展示会などでの認知アップを目指す姿勢がみられる。

   また、営業戦略として「展示会への出店」をおこなうのは、大企業では「32.0%」で、中小企業では「14.8%」となった。そのほか、「顧客関係管理(CRM)の導入強化」では、大企業が「23.7%」で、中小企業が「14.8%」。「営業担当者の増員」では、大企業では「53.8%」で中小企業が「45.1%」と、それぞれ大企業が上回った。

   こうした結果に、同社は「投資余力のある大企業ほど、アフターコロナに向け着々と始動している。だが、『営業担当者の増員』や『展示会への出展』など、アナログな手段が営業戦略の上位を占めるなど、旧態依然とした側面もみせた」とする。

   一方で、「営業外中の導入・強化」の項目は大企業が「10.5%」であるのに対して、中小企業が「19.8%」と上回った。中小企業では、生産設備や人員増強などへの投資を含めて、営業活動への投資が難しく、外注に依存を強める傾向が読み取れる。

大企業でのAI推奨「している」10.1%、「禁止している」6.1% 産業別では情報通信業が最多

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   2つ目の質問では、「貴社ではAIツールを業務に活用していますか」と問いかけた。すると結果は、全体では、「方針を決めていない」が「76.8%」で最多になった。

   また、「会社として活動を推進している」は「3.5%」、「部門によっては活用している」は「4.3%」となり、社内で推奨している企業はあわせて「7.8%」となった。

   規模別で見ると、大企業では「会社として活用を推進している」が「4.2%」、「部門によっては活用している」が「5.9%」となっている一方で、「業務への活用は禁止している」が「6.1%」となるなど対応が分かれた。

   中小企業では、「会社として活用を推進している」(3.4%)、「部門によっては活用している」(4.1%)でAIの活用率は大企業が上回った。

   産業別で見てみると、情報通信業が「会社として推進」が「11.1%」、「部門によっては活用」は「9.0%」、「個人では活用」が「22.8%」となり他9産業を上回った。

   同社では「IT関連企業も多い情報通信業では、いち早くAIツール導入の検討を進めながらも、運用は部署や個人任せの姿勢も目立つ」としている。

(東京商工リサーチの作成)
(東京商工リサーチの作成)

   また、業種別にAIツールの活用状況を見ると、「会社として活用を推進している」と「部門によっては活用している」の合計値が高いのは、「インターネット付随サービス業」の「36.3%」だった。次いで、「各種商品卸売業」が「21.8%」、「映像・音声・文字情報制作業」は「21.7%」の順に並んだ。

   上位10業種のうち、4業種を「サービス業他」、3業種を「情報通信業」が占めるかたちとなった。