ChatGPTの時代に求められるのは「自己チュー」

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唯一無二のYouTubeが自信になる

   永田さんは、2022年9月に、「永田ラッパ~食事を楽しく幸せに~」というYouTubeチャンネルを始めた。

   台本がなく、その場でバンバン質問が飛んでくるが、質問者とのやりとりをしながら、ほとんどの質問にその場で答えている。そうしたライブ感が評判になり、「飲食店経営」のジャンルでは、「そこそこ」上位に表示されるようになったそうだ。

   130本超の動画を公開しているが、登録者数や再生回数を気にせず、続けてきたことが良かったと振り返っている。YouTubeを続けていると、永田さんのチャンネルは他の同業者が真似できない内容だということがわかり、唯一無二感によって自己肯定感が上がったという。

   「好きな分野で自分が発信できること、何年でも続けられる確信があることは、自分の自信にもつながっていく」と書いている。

   YouTubeで成功しているタレントを見ると、安定して数字が取れている人は、自分のやりたいことを自分のペースでやっている。これが成功の秘訣だという。

   アンチや世間から批判を浴びても、まわりには自分を支持してくれる人しか残らない。その結果、自分らしくいることが大変ではなくなり、自然体で振舞えるようになれば、満たされた気分を感じて、自分もまわりの人も幸せにできるようになるというのだ。

   フードビジネスコンサルタントという職業柄、コロナ禍の影響は知り尽くしている。「家飲みで十分楽しいことに、多くの人が気づいてしまった」ことが大きいという。にもかかわらず、以前と同じ形態で商売を続けている飲食店が多い、と指摘している。

   「コロナの影響を受けた3年間は、世界中の価値観を変えた3年間」で、我々は間違いなく大変革期に生きている。だから、企業も飲食店も個人も、これまでのやり方に固執していたら衰退するだけだ、と警告する。

   意外なのは、必ずしも「数が多い」ことを良し、としていないことだ。それよりも大切なのは、「自分が何をやりたいか、お客様のことを考えているかということです」とも。

   「自己チュー」になることによって、自分もまわりの人も笑顔になる。難しいことだが、「同調圧力」に弱い、日本人の生き方を変えることが求められているのかもしれない。

   評者がふと思い出したのは、最近人気のミュージシャン・タレントの「あのちゃん」だ。自分らしさを貫くことが他者をも喜ばせる。いま、求められている才能だろう。(渡辺淳悦)

「激動期でも食っていける 自己チューのすすめ」
永田雅乙著
秀和システム
1650円(税込)

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