「このままでは自分の将来が見えません!」会社でのキャリアに不安を持ち始めた若手部下...どうアドバイスする?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE31(後編)】(前川孝雄)

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

キャリア観には、柳の木のように風になびく「しなやかさ」があるといい

   これはキャリアの捉え方を、柳の木に例えるものです。柳の枝葉はどんな風が吹き、雨が降ろうとも、柔軟にしなやかになびいていますが、幹はどっしりと構えていて動じません。

   もし柳の枝葉に柔軟性がなく硬直的であれば、雨や風で簡単に折れてしまうでしょう。枝葉が折れてしまうと、光や水分など外からの栄養をうまく取り込めず、幹もそのうち枯れてしまうかもしれません。

   雨風は環境や時代の変化、枝葉は日々どんな仕事や業務に取り組むか、幹はキャリア観になぞらえます。環境変化である雨風の影響を受けながらも、キャリアの幹にあたる自分の軸――「なぜ働くのか」と大きく反しなければ、枝葉末節において仕事の種類や業務の内容を選り好みしないことが、長く成長し続けられる要諦なのです。

   上司としては、日々の対話の過程で、若手自身に「こんなことでは成長できない」「こういう仕事に就けなければ意味がない」など、考えを決めつけないように促すことです。先ほどの「柳の枝葉」の例を引用するのもよいでしょう。このアドバイスの意図は、会社都合で働かせる意味合いではなく、むしろ本人の未知の成長の可能性を狭めてしまうことを防ぐことにあると伝えましょう。

   人は、偶然の仕事や人との出会いによって、大きく成長する場合があります。才能の未開拓領域が広い若手のうちは、どんな出会いや経験が成長の源泉になるかわかりません。

   経験そのものの事実は変わらずとも、後から自分なりの意味づけはできるものです。キャリアの初期段階では、大きな方向性としなやかな柔軟性を併せ持つキャリア観があれば、焦りや心配はいらないのです。

姉妹サイト