キャリア自律への支援に重要な内発的動機づけ...「内的キャリア」が大切な意味を持つ
部下のキャリア形成には、部下自身の内発的動機づけによる主体的なキャリアづくりへの支援が重要になります。しかし一方、当然ながら部下には組織貢献のための役割を担うことが期待されています。
したがって、組織の論理と個人の論理をつなぎ、OJTなどを通して本人のキャリアアップを進めていくことが必要です。
部下のキャリア形成への支援を行うためには、上司自身がキャリアとは何かを理解し、自身のキャリア観(「なぜ働くのか」+「自身のこれまでの仕事の意味づけと将来展望」)を持ち、部下と共有する準備をしておくことが不可欠です。
「キャリア」の意味を辞書で調べると、おおむね「仕事や職業上の経験や経歴」とあります。また、キャリアの語源はラテン語の「carrus(車輪の付いた乗り物)」であると言われ、車輪の通った跡の轍(わだち)を意味するとも言われています。
キャリアを考えるうえで大切なことは、「外的キャリア」と「内的キャリア」に留意することです。外的キャリアが履歴書に記入するような客観的な業種、職種や仕事名であるのに対し、内的キャリアは本人にとって大切な「働きがい」や「生きがい」としての仕事の経験・経歴です。
そして、部下と一緒に創っていくキャリアにおいては、この外的キャリアと内的キャリアがしっかり結びついていくことが大事なのです。
では、特に早期離職が課題とされる若手社員のキャリア支援にあたって、上司はどのようなキャリア観に基づきアドバイスを試みることが有効か。<「このままでは自分の将来が見えません!」会社でのキャリアに不安を持ち始めた若手部下...どうアドバイスする?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE31後編)】(前川孝雄)>で、さらに解説していきましょう。
※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。
【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授
人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等30冊以上。最新刊は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)。