【建設業の2024年問題】紙の書類のやり取りで3時間以上費やされる建設営業は28.6% 残業上限規制で、今後改善されるか?

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   2024年4月からの「働き方改革関連法」によって、建設業では残業時間の上限規制が適用される。いわゆる「建設業の2024年問題」だ。

   そうしたなか、業務効率化のクラウドサービスなどを展開するインフォマート(東京都港区)では、建設業における残業上限規制や、日々の業務などに関する調査を行い、その実情を探った。2023年6月15日の発表だ

   調査結果によると、建設業では請求書や注文書、工事請負契約書などの書類のやり取りで、依然として紙文化が色濃く残っているようだ。

   また、工事現場と事務所の間の書類のやり取りで、3時間以上費やしている建設業の営業担当者は28.6%に上るなど、デジタル化やDXが必要な建設業の問題が浮き彫りとなった。

  • どうなる建設業2024年問題?(写真はイメージです)
    どうなる建設業2024年問題?(写真はイメージです)
  • どうなる建設業2024年問題?(写真はイメージです)

紙の請求書のシステムへの転記6割以上 紙文化が色濃く残る建設業

   この調査は、建設業に従事している20代から60代の会社員362人を対象に、2023年4月18日から4月19日までインターネット調査を行ったもの。

(インフォマートの作成)
(インフォマートの作成)

   2024年4月から建設業で適用される「残業上限規制(時間外労働の上限規制)」の認知度について調査(n=362)した結果、「知っていて、ほかの人に説明できる」は「9.7%」に留まり、「知っているが説明できるほどではない」は「40.9」になった。あわせて「51.6%」の人は法律が変わることを知っていた。「知らない」と回答した人は「49.4%」だった。

(インフォマートの作成)
(インフォマートの作成)

   建設業ではさまざまな文書は取り扱われるが、では発注書や契約書、請求書、図面などの各種書類の受け渡しはどのようにおこなわれているのか。その方法について聞いた結果、「紙で行っている」が「請求書」(37.8%)、「注文書」(35.4%)、「見積書」(34.5%)、「工事発注契約書」(33.1%)、「施工計画書」(31.8%)などとなり、どの書類でも約3割で最多となった。

   次いで、「Excelやスプレッドシートで行っている」は、「見積書」(27.9%)、「請求書」(24.6%)、「施工計画書」(22.7%)など約2割程度だった。

   特に、請求書に関しては37.8%が「紙で行っている」と回答し、全ての書類の中でトップとなった。

 (インフォマートの作成)
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   建設業で扱われている各種書類は、はどのように管理されているのだろうか。そこで、各種書類のデータをシステムへ転記する方法について聞いた。それによると、「Excelやスプレッドシートから転記している」が「請求書」で「23.8%」、「注文書」が「22.4%」、「見積書」で「24.9%」などとなり、19%~24%ほどで最多となった。

   また、「紙から手作業で転記している」(作業日報:24.3%、請求書:19.9%、工事請負契約書:19.9%)、「PDFの情報を見ながら手作業で転記している」(図面等設計図書:17.7%、注文書:17.4%、工事発注契約書:17.1%)が続いた。

   同社では

「書類の種類に限らず手作業による転記作業が多い実態が明らかになりました。書類別に見ると、手作業による転記作業で最も多いのが請求書で、6割以上となりました」

   と説明している。

現場と事務所の書類やり取りの移動、1時間以上が19.9% 3時間以上も11.9%!

(インフォマートの作成)
(インフォマートの作成)

   「建設業の2024年問題」では、建設業の「働き方改革」もテーマとなる。そこで今回の調査では、各種業務に対して、1日に費やす時間を聞いている。すると結果は、費やす時間が多い順に「図面や報告書の作成」(1時間から3時間:19.6%、3時間以上:19.6%、合わせて38.1%)、「現場と事務所間での書類のやり取りのための移動」(1時間から3時間:19.9%、3時間以上:11.9%、合わせて31.8%)」、「各種書類データのシステムへの転記」(1時間から3時間:16.9%、3時間以上:13.8%、合わせて30.7%)」という回答が集まった。

(インフォマートの作成)
(インフォマートの作成)

   とくに、職種別に「現場と事務所間で書類のための移動」を見てみると、営業担当者の28.6%が「現場と事務所間での書類のやり取りのための移動」に3時間以上費やしていると回答した。他方、技術者や経営者・役員も書類のやり取りで3時間以上費やす人は、2割程度だった。

   調査結果について、同社では以下のようにまとめている。

「厳密に考えると、手作業を要する『転記』を介した業務は『デジタル化』しているとは言えません。
請求書業務を例に取り上げると、今年10月よりインボイス制度が施行されます。
制度の開始により、インボイス(適格請求書)の発行、取引先から届く請求書・領収書のインボイス対応状況の確認や、会計システムへの入力作業の増大等、紙や手作業を要する業務は、負荷が高まることが予想されます」
「それに加え、2024年4月から『残業上限規制』が建設業でも適用されます。原則として時間外労働の上限を『月45時間以内かつ年360時間以内』に収める必要があります。
対策として、まずは残業時間の削減や、週休2日制の導入で労働環境を整備することが重要です。
その上で業務のデジタル化も進めると、ペーパーレス化、リモート作業、工数の削減等の効果が見込めます。
ミスをなくして業務の品質向上と効率化を実現し、本格的な働き方改革に取り組むには、すべての書類を一元管理し、デジタル化できるツールが効果的です」
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