ジョブ型が普及する米国で明らかになったデメリットとは? 雇用の不安定化に懸念も
不安なデータもある。日本に先駆けてジョブ型の普及が進んだ米国では、デメリットも次々と明らかになっている。
たとえば、ジョブ型雇用は、あらかじめ「職務記述書」で仕事の範囲と目標を設定するため、社員は職務記述書にない仕事に従事する必要がない。
仕事がなくなれば部門ごといっせいに解雇し、新たな仕事が発生すれば必要な人材を集めるのが米国流だ。これが日本でも広がれば、国内の雇用が一気に不安定化する恐れもある。
ジョブ型では既に同業他社で一定の経験を積んだ経験者の雇用が優先され、ノウハウを持たない新卒者の就職の門戸が狭まるという問題もある。
日本企業は長く新卒採用を重視し、自社で必要な人材を育成しながら欧米企業と戦ってきた。
ある経済人はこうクギを刺す。
「欧米流を追うだけでは国際競争を勝ち抜けない。岸田政権には日本の強みをさらに生かす戦略を打ち出してほしい」
「新しい資本主義」が日本企業の強みをも減退させることにならなければいいが......。(ジャーナリスト 白井俊郎)