「サプライズゼロ」金融緩和継続の日銀政策会合...エコノミストが指摘「日銀は2つの道の岐路に」「次回7月に修正か?」「円安加速と来期春闘に注目せよ」

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政策修正は、来期の春闘が見通せる10~12月も有力か

日本経済はどうなる?(写真はイメージ)
日本経済はどうなる?(写真はイメージ)

   そうしたなか、今後、日本銀行に緩和修正を動かすものは、賃金と為替の動向だろう、と指摘するのは第一生命経済研究所主席エコノミストの藤代宏一氏だ。

   藤代氏はリポート「経済の舞台裏:日銀を動かすのは賃金と為替」(6月16日付)のなかで、こう述べた。

「今後の注目は物価もさることながら賃金だろう。約30年ぶりの高い伸び率で着地した春闘の後、その結果が初めて反映された4月の毎月勤労統計は現金給与総額が前年比プラス1.0%と、3月から伸び率が縮小するという意外な結果であった。また基本給に相当する所定内給与もプラス1.1%と期待していたような鋭角な加速ではなかった」
「ただし、連合が集計・公表する春闘賃上げ率(ベア相当部分)がプラス2%程度で着地したことを踏まえると、5月以降は加速する公算が大きく、それは日銀に一定の自信を与えるだろう」

   また、ドル円相場のグラフ【図表1】を示しながら、こう付け加えた。

(図表1)ドル円相場とドルインデックス(第一生命経済研究所の作成)
(図表1)ドル円相場とドルインデックス(第一生命経済研究所の作成)
「緩和修正を促す要因として円安も重要。Fed(米連邦準備制度)の急進的な利上げを背景にドルが全面高となっていた2022年と異なり、2023年入り後は円の弱さが目立っており、これはドル円相場(USD/JPY)上昇の要因が『ドル高』から『円安』へと変化していることを意味する。こうした変化は為替対応を巡る政府と日銀の議論において日銀に緩和修正を促す方向に作用すると考えられる」

   そして、藤代氏はこう結んでいる。

「筆者(=藤代氏)は、植田総裁の慎重な姿勢に鑑みて、YCC(イールドカーブ・コントロール)の修正は、来期の春闘がある程度見通せる10~12月が有力であると判断しているが、急速な円安が進めば、7月の金融政策決定会合におけるYCC修正の可能性が高まるだろう」
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