円安がさらに進めば、次回7月会合で政策修正か?
こうした日本銀行の姿勢についてエコノミストはどう見ているのか。
ヤフーニュースコメント欄では、日本総合研究所上席主任研究員の石川智久氏が、
「概ね予想通りの決定となりました。足元の物価高は円安や原材料価格上昇によるものであり、景気回復による部分は小さいとみていると考えられます。物価がこれから安定的・持続的に上昇するかを見極めるため、現在のスタンスを続けると予想されます」
と説明。そのうえで、
「日銀の金融政策に関して、別の話になりますが、個人的には、株高が続き、日銀が保有するETF(上場投資信託)の含み益(20兆円との試算あり)が巨額となるなか、その出口戦略をそろそろ示す必要があると思います。利益が出ているうちに、市場にインパクトを与えない時間をかけて売却し、それを財政再建に活用することも検討すべきです」
と提案した。
同欄では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主席研究員の小林真一郎氏が、
「事前の予想通り、現状のまま据え置かれました。内外経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高いことや、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比プラス幅が今年度半ばにかけて縮小すると予想されることが、大規模緩和策の維持の理由とされています。もっとも、長期金利の上昇圧力が和らいでおり、イールドカーブの歪みや市場機能の麻痺といった問題が鎮静化していることも大きかったと思われます」
と、日本銀行の現状維持の背景を解説。今後の動きについては、
「金融市場では緩和継続を好感し、朝方下落していた日経平均株価が上昇に転じました。一方、外国為替市場では欧米との金利差拡大の思惑から円安が進行しています。特に前日利上げを実施した対ユーロで売り込まれており、一時1ユーロ=153円台後半と2008年9月以来、約15年ぶりの円安水準を付けました。
今後一段と円安が進めば、日本銀行としても放置するわけにはいかず、次回7月27日~28日の金融政策決定会合で修正に踏み切る可能性があります」
と、次回7月会合に注目すべきだとした。