ウォール街も「ショック慣れ」? 利上げ休止のFRB「タカ派」ポーズに、市場冷ややか...エコノミストが指摘「でも、これこそ日本株高の終わりの始まり」

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FRBのタカ派姿勢と裏腹に、利上げが最終局面にある「証拠」

FRBのパウエル議長(FRB公式サイトより)
FRBのパウエル議長(FRB公式サイトより)

   藤代氏と同様に、「タカ派」に見えるFRBの姿勢とは裏腹に、実質FF金利(政策金利)のメカニズムからみて、利上げは終了段階に来ていると指摘するのは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。

   石黒氏はリポート「FRBは利上げ見送りも年内の追加利上げを示唆」(6月15日付)のなかで、実質FF金利と米自然利子率との関係を示すグラフを紹介した【図表2】。

(図表2)米自然利子率・実質FF金利・FF金利誘導目標上限値(野村アセットマネジメントの作成)
(図表2)米自然利子率・実質FF金利・FF金利誘導目標上限値(野村アセットマネジメントの作成)

   自然利子率とは、景気の影響が緩和状態にもなく、引き締められた状態にもなく、景気に中立的な状態にある実質利子率のこと。このような実質利子率が中長期に続く状態だと、潜在的成長利率と類似してくる。その状態のまま経済が安定しているといえるという。

   そして、潜在成長率並みの経済成長を持続的に達成するためには、実質利子率を自然利子率に一致させるような金融政策が望ましいとされている。

   そこで、石黒氏はこう説明する。

「FOMC後の記者会見でパウエル議長は、『インフレ圧力は高い状態が続いており、インフレ率を2%に戻すプロセスにはまだ長い道のりが残されている』と語るなど、FRBは『高い』金利水準を『長期間』続けることで、インフレ抑制を図る方針のようです」
「もっとも、実質FF金利(政策金利)と米自然利子率の関係からみると、利上げ終了時期は近いといえます。自然利子率とは、インフレ率を目標水準で維持し経済を完全雇用状態に保つような、緩和的でもなく引き締め的でもない実質金利です。あと2回の追加利上げで実質FF金利が米自然利子率を上回る水準に達します【図表2】。過去も同様の状態になったところで、FRBは利上げを停止してきました」
ドルと円(写真はイメージ)
ドルと円(写真はイメージ)

   その状態とは、【図表2】の2007年と2019年の長方形の点線で囲った箇所だ。両方とも実質FF金利と自然利子率が接近している。そして、現在、両者がかなり接近しつつあることがわかる。石黒氏はこう結んでいる。

「今回のFOMCはタカ派的な内容だったといえますが、市場はFRBの金融政策姿勢を冷静に受け止めています。利上げ停止時期が近づくなかで、リスク資産が買われやすい環境は今後も続きそうです」
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