ビジネスパーソンが転職を考えるきっかけとは、どんなことがあるのだろう?
リクルート(東京都千代田区)は2023年6月8日に発表した「転職活動者調査第3弾」によると、対象全体の調査では、転職のきっかけは「いまの会社に不安を感じる」(39.6%)、「成長できる環境」(36.3%)、「よりやりがいのある仕事」(32.8%)という結果になった。
一方で、現在の職場に満足しているキャリア満足度が高い人たちは「成長できる環境」が44.6%と全体よりも8ポイント近く高く、ほかにも「よりやりがいのある仕事」(44.9%)、「新しい役職へのチャレンジ」(30.0%)など、自身のキャリアの向上を目指す理由が高い印象となった。
転職先の不安...3位「上司や同僚と合うか」、2位「そもそも良い転職先と出会えるか」、では1位は?
この調査は2022年12月13日から14日までの間、転職活動中の人を対象に1040人の回答をインターネット調べで集めた。
はじめに、転職を考えるようになったきっかけについて質問。全体では「いまの会社の将来性に不安があるため」が「39.6%」で最多になった。次いで、「成長できる環境で働きたいため」が「36.3%」、「より責任ややりがいのある仕事をしたいため」が「32.8%」という順になった。
一方で、現職に満足しているキャリア満足度が高い人の結果では、「より責任ややりがいのある仕事をしたいため」が「44.9%」で最多となった。続いて、「成長できる環境で働きたいため」が「44.6%」、「今の会社の将来性に不安があるため」が「35.7%」となった。
全体とキャリア満足度の高い人の差に注目すると、「より責任ややりがいのある仕事をしたいため」が12.1ポイント差で、「新しい役職にチャレンジしたいため」が8.7ポイント差でキャリア満足度の高い人たちが高くなった。
逆に全体が上回ったのは、「職場の人間関係に不満を感じるため」が6.9ポイント差、「上司のマネジメントに不満を感じるため」が8.2ポイント差となった。
どうやら、キャリア満足度が高い方のほうが、より上のキャリアを目指したいという想いから転職活動を行っているようだ。
つぎに、転職活動で不安に感じることを聞いてみると、「希望する年収を得られる仕事が見つかるかどうか」と答えた人は「52.4%」、「転職したいと思える仕事が見つかるかどうか」は「48.5%」、「職場の上司または同僚と合う仕事が見つかるかどうか」が「42.4%」となった。
キャリア満足度が高い人の結果を見てみると、「職場の上司または同僚と合う仕事が見つかるかどうか」が「48.6%」(全体から6.2ポイント上昇)で、「転職したいと思える仕事が見つかるかどうか」を上回り2番目に高い割合となりました。
同社では、
「全体でもキャリア満足度が高い方でも最も高い割合となった『希望する年収を得られる仕事が見つかるかどうか』と『職場の上司または同僚と合う仕事が見つかるかどうか』を比較すると、差分は全体では10.0pt、キャリア満足度が高い方では、1.1ポイントとなりました。
キャリア満足度が高い方ほど、年収面の不安だけでなく、どのような方と一緒に働くことになるのかという『人』観点の不安があることがうかがえます」
としている。
転職で企業に聞きたいこと 現職満足度高い人は「職場の上司や同僚の経歴・能力」が56.3%で突出!
また、転職活動で企業に提示してほしいことを聞いてみると、。「募集している職場の上司やメンバーの経歴や能力」は「46.8%」、「募集している職場の具体的な仕事内容やミッション」は「44.5%」、「募集しているポジションの評価指標」と「勤務時間や休日休暇、リモートワーク実施率等の働き方に関する詳しい情報」が同率で「41.8%」となった。
ここでもキャリア満足度が高い人の結果に注目してみると、「募集している職場の上司やメンバーの経歴や能力」と回答した人が「56.3%」(全体より9.5ポイント上昇)となった。キャリア満足度が高い方ほど「誰」と働くかをより重要視しているようだ。
他方で、働く環境について魅力に思うものについて質問してみると、「社風・人間関係が良い」は「38.1%」で全体の最多に。「自分自身が成長できる機会が多い」が「35.2%」キャリア満足度が高い人では「40.0%」で最多になった。「勤怠管理が徹底している」が「25.1%」となった。
こうした調査結果に対して、HR統括編集長の藤井薫氏は以下のように総括している。
「転職活動者が希求する声からは、『何を目指す会社で働くか(パーパスの魅力)』、『どんなやりがいを持って働くか(仕事や待遇の魅力)』だけでなく、『誰と働くか(人間関係の魅力)』が、転職活動を支援する重要な情報となることがわかります。
中途採用を加速する多くの企業には、会社情報や仕事・待遇情報に加えて、職場の人間関係の魅力を、具体的に提示することが求められていると思います。
『企業が働く個人を選ぶ』時代から、『働く個人に企業が選ばれる』時代に転換している今。働く個人の不安と希望に、『"職場で働くイメージ"を具体的に提示する』ことこそ、選ばれる企業の条件となるでしょう」