金融リテラシーが高い人ほど金融資産も多く、「5000万円以上」の資産を持っている人はなんと、「全員」が非課税優遇制度のNISA(ニーサ=少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ=個人型確定拠出型年金)をやっていたという驚きの結果が、AIとFintechのMILIZE(東京都港区)の調べでわかった。2023年6月8日の発表だ。
調査では、同社が開発した金融リテラシーを向上するのためのアプリ「money skill(マネースキル)」を使って、現役世代(18~60歳)を対象に、「金融リテラシーの実態調査」を実施。年齢や職種、業種別の金融リテラシーの違いのほか、消費行動やお金に対する意識、資産運用への取り組みに相関があるかなどを調べた。
金融リテラシーを測る設問...18問中「16問以上」正解の人、金融資産額は平均2127万円
調査によると、金融リテラシーを測る設問18問中、13問以上正解した割合を世代ごとにみると、60代が最も多く「82%」、次いで40代「65%」、50代「59%」、30代は「54%」となった。20代は「38%」にとどまった。
20代は正解数が「9問以下」の人の割合が「27%」と他の世代と比べて高い。つまり、金融リテラシーが低いとみられる人の割合が高く、金融教育の必要性が表れた。30代でも、「18%」の人の正解数が「9問以下」だった。【図1参照】
MILIZEは、
「40代から60代は、さまざまなライフイベントや資産運用の機会などを経験し、金融リテラシーが高くなっていることが考えられる」
としている。
次いで、30代と40代の人(会社員、公務員、教職員、非営利団体職員で年収500万~1000万円、n=93人)をピックアップして、金融リテラシーごとの金融資産額(貯蓄と運用の合計金額)の関係をみると、金融リテラシーの設問18問のうち、「16問以上」正解した人は、金融資産額の平均が2127万円だった。
また、正解数が高くなるにつれて、金融資産額も右肩上がりの顕著なグラフになり、「金融リテラシーが高い人は、金融資産額も多い」ことがわかった。【図2参照】
MILIZEは、
「この傾向は全年齢・全職種で同じ結果となっており、つまり世代や職種関係なく、金融リテラシーの高さが金融資産額の多さに関係していると考えられる」
という。
金融資産額が多い人は、「NISA」「iDeCo」をうまく活用している
また、30代と40代の人(会社員、公務員、教職員、非営利団体職員で年収500万~1000万円、n=93人)の金融資産額ごとの「NISA」「iDeCo」の活用状況をみると、金融資産額が「2000万円から5000万円未満」の人は、NISA・iDeCoを活用している人の割合が「85%」を占め、「5000万以上」の人はなんと「100%」だったことがわかった。
その半面、金融資産額が「1000万円未満」で、NISAやiDeCoを利用している人は67%だった。金融資産額が多い人ほど、NISAやiDeCoの利用率も高いことがわかった。【図3参照】
MILIZEは、
「このことから、非課税優遇制度の利用の有無は金融資産額の多さに関係していると考えられる。金融リテラシーを向上することで、制度を理解し活用することにもつながる。
金融教育を推進して金融リテラシーを向上させることが、一人ひとりの金融資産額に影響を与えることが示唆された。低金利が続く日本では、正しい金融知識を身につけ、資産運用を始めていくことは、現役世代にとって必要不可欠になりつつある」
と指摘している。
なお、調査は18~60歳の男女(学生含む)を対象に、2023年4月21日~23日に実施。有効回答数は2000人(男性1000人、女性1000人)。次の(1)~(3)の設問に、答えてもらった。
(1)基本属性に関する設問(2)お金に対する意識と行動に関する設問(3)金融リテラシーを測る設問(運用・年金・保険・住宅・税金・教育の6つのカテゴリー別に各3問の計18問)。