不動産業界のDX推進はどれくらい進んでいるのか――。
不動産・住宅情報サービスの「LUIFLL HOME'S(ライフルホームズ)」を運営する、LIFULL(ライフル)(東京都千代田区)が2023年6月8日に発表した「不動産業界のDX推進に対する実態調査」によると、DXに取り組んでいる/取り組む予定のある不動産管理会社・不動産仲介会社は51.3%にのぼった。
しかし、デジタル人材の育成のための社内の育成環境では「個人に任せている」55.2%、「育成していない」33.8%という結果も出ていて、DX化に向けてまだまだ途上にあることが明らかになった。
業界で注目しているソフトウェア「電子契約ソフト」「CRM(顧客管理)ソフト」「IT重税ソフト」
この調査は2022年4月3日から21日まで、不動産管理会社と不動産仲介会社の518人を対象に、「LIFULL HOME'S」によるメルマガ調査でなった。
はじめに、不動産DXに取り組んでいるかを聞いたところ、「取り組んでいる」が22.0%、「取り組む予定」が29.3%で、あわせて51.3%がDXに取り組む意向を示した。現在、あらゆる業界でDXが進められている。また、不動産に特化したITサービスが提供されているが、DXへ動き出せている不動産会社は2社に1社という結果になった。
続いて、「DXに取り組んでいる」「過去に取り組んでいたことがある」「取り組む予定」と回答した企業には、取り組みの目的を聞いた。その結果、最多となったのは「業務効率化」で85.6%。次いで「集客力向上」が46.6%、「コスト削減/生産性向上」が41.2%、「成約率(売上)向上」が40.4%という結果になった。
同時に、DX導入によって解決できた課題については、「業務効率化」が78.4%で最多に。したがって、目的も効果もどちらも「業務効率化」が最も多い結果になった。
また、DXに「取り組んでいる」「取り組む予定」とした人には、導入しているDXサービスを聞いた。それによると、1位は「CRM(顧客管理)システム」で42.9%、2位は「賃貸管理(不動産基幹ソフト)システム」で41.0%、3位が同率で「電子契約システム」と「IT重税システム」の24.8%という結果が出た。
この結果について、同社は次のように説明する。
「導入しているサービスの1位、2位である『CRM(顧客管理)システム』『賃貸管理(不動産基幹ソフト)システム』は、不動産業界におけるDXサービスの先駆けであり、徐々に不動産業界に定着してきたのだと推測できます。 一方、3位の『電子契約システム』においては、2022年5月18日から『不動産取引の電子契約』が可能になってから約1年と考えると、関心度の高いサービスであり、積極的な導入が進んでいることがわかります」