ネット上の誹謗中傷 ジャーナリストの場合、男性よりも女性が多い傾向 話題の出来事の議論から「攻撃」に(鷲尾香一)

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誹謗中傷の経験が多かったサービスはTikTok 配信者の顔が見えるから?

   誹謗中傷の内容を男女別でみると、最も多いのは男性に対する「侮辱・攻撃」の9.5%だが、次いで多いのは女性に対する「侮辱・攻撃」と「容姿・人格の否定」の7.7%となっている。

   一方、一般の人では男性の倍以上に多かった「セクハラ」は、女性ジャーナリストではいなかった。(グラフ3)

   ジャーナリストのタイプ別に見ると、フリーランスのジャーナリストの方が、新聞協会所属企業に所属しているジャーナリストよりも誹謗中傷を受ける経験が多い。なかでも、新聞協会所属企業にコンテンツを提供しているフリーランスのジャーナリストは33.3%と高くなっている。

   これを男女別にみると、新聞協会所属企業にコンテンツを提供している女性のフリーランスのジャーナリストは41.7%、新聞協会所属企業にコンテンツを提供していない女性のフリーランスのジャーナリストは37.5%と高く、いずれも男性を大きく上まわっている。(グラフ4)

   誹謗中傷された投稿内容としては、「他のジャーナリストとの日常会話」が66.7%で最も多く、次いで、「トレンドになっているコンテンツに関して、議論を開始するような投稿」が61.9%、「他のジャーナリストに業務の質問やアドバイスを求める」58.3%、「他のジャーナリストとの交流」57.1%と続くことから、話題の出来事について議論を開始することや、ジャーナリスト同士で交流に対して、誹謗中傷が多いことがわかる。

   最後に、誹謗中傷経験について、サービス別にみると、TikTokの誹謗中傷経験率が34.5%と突出して高い。

   調査分析では、TikTokの誹謗中傷経験率高い理由として、映像を配信するSNSのためコンテンツ配信者の顔が見えることや、特定のコンテンツに対して簡単にコメントでメッセージを送れてしまうこと、匿名利用者も多いことなどをあげている。(グラフ5)

   誹謗中傷を受けたジャーナリストの中には、は「攻撃的・悪口的な投稿をされたサービスでの活動を減らした」との回答が11.6%あり、投稿内容への疑問は残るものの、誹謗中傷によってジャーナリストが投稿活動の縮小や、表現を萎縮されるという反動が出ていることがわかる。

   誹謗中傷の防止は非常に難しい。だが、ネット上での誹謗中傷がなくなるように、教育を含めた対策を継続していかなければならない。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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