コロナ「5類」移行、企業に広がるオフィス回帰 でも、3割が「在宅勤務禁止したら、転職辞さない!」 女性では4割~5割が転職派...どうする人事部?

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   新型コロナが「5類」に移行し、企業の間でも在宅ワークを減らしてオフィス回帰の傾向が強まっている。これまで在宅で働いてきた人はどう思っているのだろうか。

   マーケティングリサーチの「アスマーク」(東京都渋谷区)が2023年6月6日に発表した「コロナ5類移行に伴うオフィス回帰 在宅勤務者の本音」によると、もし在宅勤務禁止になったら、転職も辞さない人が3割近くいることがわかった。特に30代女性では半数以上に達するという。

   どうする企業の人事担当者?

  • 理想の在宅ワークとは?(写真はイメージ)
    理想の在宅ワークとは?(写真はイメージ)
  • 理想の在宅ワークとは?(写真はイメージ)

「週1日以上」在宅が8割強、「ほぼ毎日」が3割弱

   アスマークの調査は、20歳から59歳までの男女1200人が対象。そのうち在宅勤務がある職場で働く562人を中心に質問した。

   まず、現在の在宅勤務の頻度を聞くと、「週2~3日程度」(32.7%)が最も多く3割強だった。次に多いのが「ほぼ毎日」(27.2%)で、週1日以上在宅勤務をしている人が全体の8割強(82.7%)を占めている【図表1】。

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(図表1)現在の在宅勤務の頻度(アスマークの作成)

   そして、コロナ禍だった1年前と比較すると、在宅勤務の頻度が「減っている」と答えた人が3割強(34.0%)で、「増えている」(26.0%)を上回った。コロナが収束に向かうにつれて在宅ワークが減り、オフィス回帰の傾向にあることがうかがえる。

   その一方で、「増えている」という人も約4人に1人いるわけだから、「働き方改革」が進んでいる側面も見逃せない。在宅ワークとオフィスワークのバランスには、それぞれの企業の方針による違いが拡大しているようだ。

   さて、在宅ワークをしている人は、もっと増やしたいのだろうか、それとももっとオフィスで仕事をするほうがいいのだろうか。

   まず、現状に満足しているかどうかを聞くと、4人に3人の75.1%の人が「満足している」と答えた。性別年代別にみると、男女とも40代の約3割が「不満である」と答えていることが目立つ。

出社と在宅を適度に織り交ぜる、ハイブリッド型勤務が人気

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在宅でリラックスしながら仕事をしたい?(写真はイメージ)

   では、実際にはもっと増やしたいのか、減らしたいのか、どちらなのか。全体の半数以上(54.1%)は「ちょうど良い」と考えているが、「増やしたい」という人が3割半ば(36.5%)いた。特に、女性の20代~40代に「増やしたい」人の割合が4割を超えたことが目を引く【図表2】。

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(図表2)在宅勤務の頻度、もっと増やしたい、減らしたい?(アスマークの作成)

   なかでも、女性の30~40代では42.0%に達している【再び図表2】。この層は子育てをしている人が多い。仕事と家事育児を両立するために、より効率的な在宅勤務の頻度を増やしたいと考えている人が多いとみられる。

   そこで、「理想の在宅勤務の頻度」を聞くと、「週2~3日程度」(34.7%)が最も多く、4割を超えた。完全な在宅勤務(ほぼ毎日)よりは、出社と在宅ワークを適度に織り交ぜながら勤務するハイブリッド型を望む人が多数派となっている【図表3】。

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(図表3)理想の在宅勤務の頻度は?(アスマークの作成)

   ただし、女性30代に限ってみれば、「ほぼ毎日」(43.2%)が理想という人が最も多く、4割を超える。また、女性20代も「ほぼ毎日」(38.9%)が4割弱で「週2~3日程度」(33.3%)を上回っている。このことから、若年層の女性では「完全な在宅勤務」を理想と考える人が多い傾向がうかがえる【再び図表3】。

   しかし、興味深いのは女性40代だ。「ほぼ毎日」(28.0%)が、男性も含めて全世代の中で一番低くなり、逆に「週2~3日程度」(54.0%)が全世代の中で一番多くなる。これは、子どもがヤンチャ盛りや反抗期を迎えるため、一日中顔を付き合わせるのが大変になるからだろうか【再び図表3】。

   ところで、アフターコロナに入り、「在宅ワーク」を減らす企業が増えている。「もしも、在宅勤務が禁止になり、完全なオフィス回帰となったらどう思う?」と聞くと、「いやだが我慢する」(55.4%)が最も多い結果となった。だが、注目すべきは約3割(30.1%)が、「転職を考えると思う」もしくは「転職する」と答えた点だ【図表4】。

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(図表4)もしも在宅勤務が禁止になったら、どう思う?(アスマークの作成)

   特に、女性の若い世代にその傾向が強く、30代(54.3%)に至っては半数以上が「転職派」だ。また、20代(40.3%)でも約4割が「転職派」だし、40代に関しても、転職は検討しないまでも6割半(65.2%)が「嫌だが我慢する」として、モチベーションが下がる傾向にある【再び図表4】。

若い女性にとって、在宅勤務が働くうえで高い優先度を持つ

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在宅ワークでオンライン会議(写真はイメージ)

   企業にとっては、由々しい事態と言えるだろう。調査を行なったアスマークの担当者はこうコメントしている。

「1年前と比べ、在宅勤務の頻度は減少傾向にあり、オフィス回帰の傾向にあることが確認できました。一方、週に2~3日程度在宅勤務をしている人が最も多いこと、在宅勤務の頻度に満足している人が7割半という結果から、コロナ過で働き方改革が進んだ面も確認できました。
注目すべきは、若年層女性ほど高頻度の在宅勤務を理想としている点や、在宅勤務ができなければ転職を検討したいと思う人も多かった点です。若年層の女性にとって、在宅勤務が働くうえで高いプライオリティー(優先度)を持つことが浮き彫りとなりました」

   調査は2023年4月4日~12日、全国の20~59歳男女1200人(性別年代別に各150人ずつ)を対象にインターネットでアンケートを行なった。(福田和郎)

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