日野と三菱ふそう、両ブランドは残る方向か 相乗効果は発揮できるか?
かつては日野も、いすゞも、乗用車を生産・販売していた。とりわけ日野は戦後、仏ルノーと提携し、リヤエンジンの後輪駆動車を得意とした。独自開発の「コンテッサ」ではイタリアのデザイナーを起用し、流麗なスタイルのセダンとクーペが人気だった。
しかし、トヨタや日産などライバルとの競争に勝てず、1966年にトヨタと資本提携するとともに乗用車から撤退し、商業車専業メーカーとなった。
いすゞも同様に、「ベレット」「117クーペ」「ジェミニ」「ピアッツァ」などの乗用車を生産していたが、1993年に撤退し、商業車専業となった。
日野、いすゞとも、かつての乗用車には根強いファンが健在で、今も「日野コンテッサクラブ」「いすゞ117クーペオーナーズクラブ」などが存在する。
今回の日野と三菱ふそうの経営統合は、何をもたらすか。
さすがにトラックやバスにオーナーズクラブは存在しないと思われるが、トラックやバスを愛すクルマ好きも多い。このためか今回の経営統合でも、日野と三菱ふそうの両ブランドは残るという。
乗用車メーカーの経営統合に比べれば地味な存在だが、2陣営が競う構図となった日本の商用車メーカーの国際競争に注目したい。(ジャーナリスト 岩城諒)