Z世代従業員とどう付き合う? 調査で判明...「フレンドリーに接する」「細かいところを褒める」「ダメ出しとフォロー」

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   今、飲食店で活躍しているのがZ世代従業員だ。10代、20代の若い彼らの存在は、人手不足にあえぐなか、頼もしい存在でもある。

   ところで、飲食店経営者や、あるいはリーダーの立場の人にとって、Z世代従業員はどのような期待を寄せているのだろうか?

   飲食店リサーチを運営するシンクロ・フード(東京都渋谷区)は2023年6月5日に「Z世代」の従業員との関わり方についてのアンケートの結果を発表した。

   調査によると、店舗経営者や運営者は店のSNS運用や新メニュー開発などへの若い世代の斬新な発想を期待していることがわかった。

   一方で、働き方の面で気を遣うのは、フラットでフレンドリーな人間関係の構築、モチベーションの維持に気をもんだりするなど、店舗運営のリアルが明らかになった。

  • 飲食店で働くZ世代(写真はイメージです)
    飲食店で働くZ世代(写真はイメージです)
  • 飲食店で働くZ世代(写真はイメージです)

Z世代と経営者の世代ギャップ 「缶切りや栓抜きの使い方を知らなかった」

   この調査は2023年4月27日から5月9日の間、飲食店ドットコム会員の飲食店経営者と運営者360人を対象にインターネットアンケートを行ったもの。

   なお、回答者の属性は回答者の70%が1店舗のみを運営しており、東京にある飲食店の割合は51.4%で、首都圏の飲食店の割合は67.3%となっている。

飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ
飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ

   はじめに、Z世代の従業員の在籍状況を聞いてみると、「在籍している」が「53.3%」、「現在は在籍していないが、過去に在籍していた」が「22.8%」、合わせて「76.1%」の店舗でZ世代が働いていたことがわかる。

飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ
飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ

   続いて、「Z世代の従業員の在籍歴がある」(『在籍している』と『現在は在籍していないが、過去に在籍していた』を合わせて)と回答した274人に、Z世代がどのような働き方を望んでいる人が多いか質問した。

   最多は、「学業やプライベートを優先させた働き方がいい」で「50.7%」となり、「週1~2日程度の勤務」が「37.2%」と続き、「週3~4の勤務」が「25.9%」という結果になった。イマドキのZ世代はバイト代のためにあくせく働くより、のんびり少ない勤務を好んでいるのかもしれない。

飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ
飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ

   つぎに、「Z世代の従業員の在籍歴がある」(n=274)に対して、Z世代の従業員との間に世代間ギャップを感じた経験があるか聞いた。すると、「とてもある」が「35.8%」、「ややある」が「45.3%」で合わせて「81.1%」の人が「ある」と回答した。店舗経営者や運営者と世代間ギャップを少なからず感じているようだ。

   そこで、回答者に世代間ギャップを感じた具体的なエピソードを見てみると、

仕事よりプライベートを優先する
・歓迎会や懇親会に誘ったところ、プライベートを優先したいと断られた。シフトへの協力態勢が以前より弱く感じる(東京都/焼肉/3~5店舗)
・ガッツリ働いて稼ぐ傾向が減り、程よく働いてプライベート優先が多い(東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・退社時刻になると、状況に関わらず引き継ぎ無しで帰宅してしまう(兵庫県/ラーメン/1店舗)
缶切りや栓抜きなどの使い方を知らない
・缶切り、栓抜きを使ったことがない(東京都/洋食/1店舗)
・コーラなどの瓶の開け方を知らない(神奈川県/専門料理/2店舗)

   などが上がっている。

Z世代だからこそ任せたいタスクがある50.3% 「新鮮な発想、価値観を活かしてほしい」!

飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ
飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ

   また、同じ回答者にZ世代の従業員とコミュニケーションを取る際に気を付けていることを聞いてみると、最多は「フラットな立場でフレンドリーに接する」(40.5%)となった。次いで「仕事へのモチベーションを下げないように配慮する」(35.8%)、「仕事へのモチベーションを上げるように働きかける」(34.3%)という結果になった。

   具体的な声を見てみると、

フラットな立場でフレンドリーに接する
・プライベートな会話を仕事中にも良く喋らせ、関係性を「友達」寄りにしていく。またフラットな関係を意識し、上下関係からの指示・司令は出さない(東京都/焼肉/1店舗)
・あだ名で呼ぶ。いい部分はフレンドリーに褒める(愛知県/カフェ/2店舗)
仕事へのモチベーションを下げないように配慮する
・注意する時は注意するが、そのあとのフォローを必ず入れるように気をつけている(大阪府/イタリア料理/1店舗)
・極力強い言動は避け、楽しく働ける環境づくりを心がけています(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
仕事へのモチベーションを上げるように働きかける
・否定ではなく肯定することを意識しながら注意をする(神奈川県/バー/1店舗)
・できるだけ細かいことでも褒めるように心がける。休みを希望してきた時に理由を聞かない、嫌な顔をしない(大阪府/そば・うどん/1店舗)

   などが上がっている。

飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ
飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ

   引き続き、Z世代の従業員にこそ任せたいと思う(もしくは任せている)タスクがあるか聞いた。

   その結果、最多は「特別、任せたいタスクはない」が「49.7%」ではあるが、Z世代の活躍に期待を寄せている店舗も多いのも実情。「任せたいタスクがあり、すでに任せている」が「21.9%」、「任せたいタスクがあるが、まだ任せられていない」は「28.3%」と、半数の経営者や運営者は「任せたいタスクがある」と回答している。

飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ
飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ

   さらに、任せたいタスクがある(n=181)にどんな内容か聞いてみると、最多は「SNS運用によるプロモーションや集客」が「60.8%」、「接客・配膳・会計・片付けなどのホール業務」が「40.3%」、「店頭・店内のメニューボード・POP作成」(38.7%)という並びになった。

   同社では、

「ほとんどのタスクにおいて『Z世代ならではの新鮮な発想、価値観を活かしてほしいから』との回答を選択する傾向が目立ちました。
こうしたなか、『調理』、『予約受付・問い合わせ対応』、『人材採用・育成』については『今の文化や流行に関する知識を生かしてほしいから』との理由を選ぶ傾向が比較的高く見られました。
これは、トレンドをメニューに取り入れたいとの考えや、SNSを活用した予約導線、人材募集のしくみに注目する飲食店が増えてきているためとも推察されます」

   としている。

   最後に、自店舗における現状の課題や悩みについても聞いていたところ、以下のような回答が寄せられている。

若い世代の人材不足が深刻
・Z世代を含めて、若手をもっと育てていきたいが、人材が集まらない(兵庫県/和食/6~10店舗)
・若い世代の応募者が無い(兵庫県/ラーメン/1店舗)
Z世代の従業員を含む定着率の低下
・若い子は簡単に辞めやすい(東京都/イタリア料理/2店舗)
・Z世代に関わらず、最近のスタッフのレベルの低下、定着率の低下には本当に困っている。店舗運営を継続するのに、本当に神経をすり減らすので、この先商売を継続すること自体考え直す時期かもしれない(東京都/フランス料理/2店舗)
Z世代の育成に苦慮している
・Z世代を育てるのが困難(大阪府/カフェ/1店舗)
・コロナ禍が3年と長期にわたり、経営状況の悪化から正社員、パート従業員の高齢化が進み、Z世代に対する教育環境が整えられていない(東京都/その他/2店舗)
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