「飲みニケーション」は、もう終わった文化
「飲みニケーション」は、コロナ禍でなくなった習慣という指摘にもうなずいた。そもそも飲みニケーションによって部下をマネジメントすることに問題があるという。上司と部下の距離が近いと、部下から情報を収集しやすいというメリットはあるが、デメリットも多いのだ。
まず、上司と部下の関係の根幹が崩れる。また、部下は「自分が上司に必要とされている」と勘違いする。さらに、よく飲みに行く人が優遇されるので、他のメンバーが意欲を失い、組織内での競争原理が働きにくくなる。
チーム内での部下同士の健全な競争状態を作るのが、組織として望ましいことだ。そのためには評価の基準を明確にするなど、ルールを設ける必要がある。
そこで勧めている方法が、部下たちの業績を可視化すること。「1位を目指せ!」と煽らずとも、あくまで数字で現実を部下に突き付けるだけでいいという。
公平な評価のため、「プロセス(過程)を重視するのもやめよう」という提案も新鮮だ。「プロセス重視が通用するのは小学生相手だけ」と厳しい。
一方で、根底に客観的事実があれば、仕事のプロセスを評価しても問題ない。たとえば、「電話で10件のアポイントを取った。チーム内で最多だ」という状況があれば、評価しても大丈夫だという。どういうことか。事実に基づいて評価するので、他の部下も「自分には何が足りないのか」を認識することができるからだ。
プロセス重視の評価は、部下の「頑張っているアピール」を生み出す、という記述にも納得した。その典型が、残業アピールだ。上司は仕事のプロセスへの介入をやめて、結果だけを見るようにすればいい。そうすると、上司は別の仕事に手を回せるようになり、チーム全体の働き方も効率化される。
プロセスへの介入を減らすためのよい方法が、実はリモートワークという指摘も新鮮だ。コロナ禍の終息後も、リモートワークを続けている企業は、そうしたメリットに気が付いたのかもしれない。