議論が進まないのは、解散・総選挙の思惑から? 選挙のアピール材料は少子化対策だけ
不可解な行為の背景にあるのは解散・総選挙に向けた思惑だろう。先進7カ国(G7)首脳会議を成功させた岸田氏にとって、次期総選挙は長期政権に向けた重要な試金石となる。
しかし、ここにきて誤算が相次いでいる。
ずっとかばい続けてきた長男の翔太郎首相秘書官(政務担当)は、首相公邸内での「家族忘年会」など不適切な行動が致命傷となり、更迭を決断せざるを得なくなった。
総選挙の候補者調整をめぐる対立から、連立与党・公明党との関係もこじれており、従来のような選挙協力が実現できるか心もとない状況だ。
政府・自民党にとって、選挙のアピール材料になりそうなカードは少子化対策しか見当たらないのが実情といえる。その子育てで、財源問題に深入りすれば、負担増を強いられる国民の反発を招きかねない。
ある自民党幹部は「財源に関する具体的な調査は総選挙後に先送りし、国民の目をそらすのが得策と判断したのだろう」と解説する。