「脱毛エステ」――。これこそが、男女を問わずZ世代の若者が一番多く被害にあっている詐欺まがいの商法だという。
2022年4月の成年年齢引下げから1年を機に、国民生活センターが2023年5月31日に発表した調査「18歳・19歳の消費者トラブルの状況」によって明らかになった。
いったいなぜ、どんな手口で騙されるのだろうか。
2つの弱点は「美」の追求の「脱毛エステ」、「金」の追求の「儲け話」
国民生活センターによると、2021年度に比べて2022年度に増えた18歳・19歳からの消費者トラブルの相談内容を見ると、「脱毛エステ」(1019件)が2位の「医療サービス」(153件)を6.7倍に引き離し、ダントツに多いのが特徴だ【図表1】。
2位の「医療サービス」にも、医療クリニックで行われる脱毛治療の相談が多く含まれており、8位の「エステティックサービス(全般)」と合わせて、脱毛を中心としたエステ関連の多さが目立つ。ちなみに、20歳代全体の被害相談を見ても、「脱毛エステ」は圧倒的な1位だった。
「脱毛エステ」が「美」の追求とすれば、もう1つ目立つのが「金(かね)」の追求のトラブルだ。4位「他の内職・副業」、7位「金融コンサルティング」など、金儲けに関する被害が上位に並んでいる。
実は、3位の「出会い系サイト・アプリ」の中にも、異性との出会い目的ではなく、「異性の悩みを聞くだけで報酬がもらえる」と説明されて登録し、だまされるケースが少なくない。
また、5位「コンサート」も金銭がらみの相談だし、6位「役務その他サービス」の中にも、「SNSで儲け話を勧誘されて契約したが、儲からなかった」といった相談が多く含まれているのだ。
こんな事例が代表的だ。
【事例1】(脱毛エステ)数百円の体験のためだったのに、高額の通い放題プランを強引に契約させられた
スマホの動画アプリで頻繁に出てくる、数百円で体験できる脱毛エステの広告に興味を持ち、電話で予約してひげ脱毛を体験した。
その日は体験だけで帰るつもりだったが、「通い放題のお得なプランは、今日でなければ契約できない」と言われた。「友達と通いたいから家で検討する。支払いもできるか心配だ」と言ったが、「今契約しないとお得なサービスは受けられない。支払いは分割にすればいい」と言われて怖くて帰れなかった。
クレジットの手続きでは、担当者が年収を「大体これくらいだね」と勝手に書いた。クレジット会社から本人確認の電話は来ていない。初回のお試し以降は3回施術を受けたが、効果はあまり感じない。毎月の支払いが大変だ。施術の予約もすぐに取れないので解約したい。(2022年11月・10歳代男子学生)