「楽に稼げる」Z世代の若者が被害にあう「遠隔操作アプリ」詐欺とは? 心まで遠隔操作して借金まみれに! 甘い話に騙されない5つの方法

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   「簡単に稼げる」「すぐ元が取れる」という甘い話に乗ってだまされるZ世代の若者が増えているが、近年目立つのが「遠隔操作アプリ」を悪用して、高額の借金をさせる詐欺だ。

   国民生活センターは2023年6月7日、「20歳代が狙われている!? 遠隔操作アプリを悪用して借金をさせる副業や投資の勧誘に注意」という警告のリポートは発表した。

   アプリを通じて、若者の心理まで「遠隔操作」をしてカネをむしりとってしまう怖い手口だ。いったい、どうやって防げばよいのか。

  • 詐欺師があなたを狙っている…(写真はイメージ)
    詐欺師があなたを狙っている…(写真はイメージ)
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「サラ金」で借金、クレジット契約を組ませる「クレ・サラ強要商法」

   「遠隔操作アプリ」とは、自分のスマートフォンやパソコンに遠隔地の第3者が接続して、両者が画面を共有しながら遠隔操作を行うアプリのことを指す。

   たとえば、携帯電話事業者やパソコンメーカーなどがユーザーサポートを行う場面でよく利用される。しかし、携帯電話事業者なら一緒に画面を見ていることを意識するが、この詐欺の厄介なところは、被害者が「副業に必要だから」などと言われて、遠隔操作アプリをインストールしてしまうため、悪徳事業者と画面を共有しているのに、そのことをほとんど意識していない点にある。

   つまり、悪徳事業者がすぐ横にいながら、お金の借り方を細かく指示する場合と似た状況となるわけだ。相手には画面を通じて被害者のやろうとしていることがすべてわかる。しかし、被害者はそれに気づかず、冷静に判断することができずに、相手の意のままに貸金業者から借金してしまうのだ【イラスト1】。

(イラスト1)遠隔操作アプリのトラブルの流れ(国民生活センターの作成)
(イラスト1)遠隔操作アプリのトラブルの流れ(国民生活センターの作成)

   「クレ・サラ強要商法」とも呼ばれる。無理やり「サラ金」(消費者金融)から借金をさせたり、クレジット契約を組ませたりする商法だからだ。2022年度は被害相談が1003件あり、被害者の68.7%が20歳代だった。

   具体的な事例を見ていくと――。

【事例1】副業で200万円の高額サポート契約を勧誘され、「お金がない」と断ると、遠隔操作アプリを通して借金をさせられた

   動画投稿サイトで広告を見て、副業サイトにアクセスし、無料通話アプリで友達登録した。「情報商材の購入が必要」というので、約2000円の情報商材を購入すると、後日、事業者から電話があり「詳細を説明するので予約をするように」と案内された。

   約束した日に、事業者から電話で「アフィリエイトや動画配信サービスの仲介ビジネスでもうかる方法を教える。手っ取り早くもうかる約200万円のサポートプランがあなたに合っている」と勧められた。「お金がない」と断ると、「貸金業者で借金する方法を教えるので、スマホに遠隔操作アプリを入れるように」と案内され指示に従った。

   電話で事業者から言われるままスマホ操作を行い、勤務先について嘘の申告をするように指示され、2社の貸金業者から50万円ずつ合計100万円を借金し、指定された個人名義の口座に振り込んだ。「残金は別の貸金業者で借金するように」と言われたが、借金の返済が苦しいので返金してほしい。(2022年12月・20歳代女性)

「スタンプ送信だけで日給5万円」のはずが、借金の山に

「儲け話」にはご注意を(写真はイメージ)
「儲け話」にはご注意を(写真はイメージ)

【事例2】「空いている時間に見ているだけ」のはずが、副業の内容が理解できずに50万円の借金

   スマホで副業を検索し、ランキングで上位にあった事業者のサイトを開いた。その事業者のSNSを登録し、1000円のガイドブックを購入して読んだが、詳細が不明だった。

   無料の電話サポートの予約画面が表示されたため、希望日時を入力すると電話があり、「初心者でもできる。空いている時間に見ているだけ」と言われ、遠隔操作アプリで画面共有をしながら説明を受け、FX(外国為替証拠金取引)で稼ぐのだと知った。

   AIの自動売買ツールの価格は約70万円だが、割引をするので約40万円だと勧められて、画面に表示された契約書に氏名、住所を入力した。「融資を受けて代金を支払っている人もいる」と言われ、画面を共有したまま貸金業者のアプリで50万円の借金を申し込んだ。

   副業の内容が理解できず、電話で解約を申し出たが、「商品は発注した。代金を支払ってもらう」と言われた。解約したい。(2022年10月・20歳代女性)

【事例3】「送信するだけで日給5万円」のはずが、貸金業者3社から30万円ずつ借金する羽目に

   スマホでできるバイトをインターネットで検索すると、「スマホからスタンプを送信するだけで日給5万円」と記載されていた。その事業者のサイトから登録し、電子書籍代2000円をカード決済した。事業者から説明を聞くために予約したところ、後日、担当者から電話があり、予想収益を100万円とする約70万円のサポートプランを勧められた。

   「先行投資」と言われ、貸金業者3社から30万円ずつ借金する方法を提示された。遠隔操作アプリによって自身のスマホ画面が共有された状態で、インターネット上で各社に借金を申し込んだ。しかし、後で家族に反対されたため、借金の申し込みを撤回した。最初の電子書籍代はあきらめるが、画像送信した免許証やカードの悪用が心配だ。どうしたらよいか。(2022年11月・20歳代男性)

スマホ内の情報を勝手に閲覧されてしまう危険も

   このように、遠隔操作アプリの問題点は、被害者が共有される画面を通じて、心理状態まで「遠隔操作」されていることに気がつかないことだ。

   貸金業者の申し込みサイトに、こうした手口の注意喚起情報が表示されていても、事業者から「これはあなたには関係ないから、読み飛ばしてよい」などと言われるケースも少なくない。

   また、共有された画面を通じて貸金業者に借金の申し込みをすると、IDやパスワードまで悪質事業者に知られるし、スマホ内の情報を勝手に閲覧されてしまう恐れもある。

   さらに、遠隔操作アプリを悪用して、事業者が被害者とのやり取りの履歴を消去することができ、消費者トラブルの解決がいっそう困難になる。実際、事業者から「データが重くなるため、消去するように」と指示されて、被害者が自ら履歴を消したケースもあった。

   国民生活センターではこうアドバイスしている。

   (1)「簡単に稼げる」「楽にもうかる」といったうまい話はない。絶対にうのみにしないこと。

   (2)「副業や投資の説明のために必要」「借金する方法を教える」などと言われても、遠隔操作アプリは安易にインストールしないようにする【イラスト2】。

   (3)遠隔操作アプリを通じて貸金業者サイトに登録してしまったら、すぐにIDやパスワードを変更する。その場合は、事業者は悪用される恐れがあるので、登録した貸金業者に連絡を取る。

   (4)また、「遠隔操作アプリ」は非常に悪質、かつ解決が困難なため、デジタル犯罪を専門に調査している独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ 安心相談窓口」に電話またはメールで相談するよう呼び掛けている相談の際の注意事項や関連情報はホームページなどをご参照のこと。

(イラスト2)遠隔操作アプリは慎重に(情報処理推進機構の作成)
(イラスト2)遠隔操作アプリは慎重に(情報処理推進機構の作成)

   あわせて、情報処理推進機構(IPA)の注意喚起情報「遠隔操作ソフト(アプリ)を悪用される手口に気をつけて!」も、参考になる。(福田和郎)

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