スマホ内の情報を勝手に閲覧されてしまう危険も
このように、遠隔操作アプリの問題点は、被害者が共有される画面を通じて、心理状態まで「遠隔操作」されていることに気がつかないことだ。
貸金業者の申し込みサイトに、こうした手口の注意喚起情報が表示されていても、事業者から「これはあなたには関係ないから、読み飛ばしてよい」などと言われるケースも少なくない。
また、共有された画面を通じて貸金業者に借金の申し込みをすると、IDやパスワードまで悪質事業者に知られるし、スマホ内の情報を勝手に閲覧されてしまう恐れもある。
さらに、遠隔操作アプリを悪用して、事業者が被害者とのやり取りの履歴を消去することができ、消費者トラブルの解決がいっそう困難になる。実際、事業者から「データが重くなるため、消去するように」と指示されて、被害者が自ら履歴を消したケースもあった。
国民生活センターではこうアドバイスしている。
(1)「簡単に稼げる」「楽にもうかる」といったうまい話はない。絶対にうのみにしないこと。
(2)「副業や投資の説明のために必要」「借金する方法を教える」などと言われても、遠隔操作アプリは安易にインストールしないようにする【イラスト2】。
(3)遠隔操作アプリを通じて貸金業者サイトに登録してしまったら、すぐにIDやパスワードを変更する。その場合は、事業者は悪用される恐れがあるので、登録した貸金業者に連絡を取る。
(4)また、「遠隔操作アプリ」は非常に悪質、かつ解決が困難なため、デジタル犯罪を専門に調査している独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ 安心相談窓口」に電話またはメールで相談するよう呼び掛けている相談の際の注意事項や関連情報はホームページなどをご参照のこと。
あわせて、情報処理推進機構(IPA)の注意喚起情報「遠隔操作ソフト(アプリ)を悪用される手口に気をつけて!」も、参考になる。(福田和郎)