クルマの運転免許保有者、平均年齢は50.5歳...今後ますます高齢化でどう対応? 「サポカー限定免許」導入から1年も、メリット感じづらく...

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   クルマを運転するドライバーの高齢化が進んでいる。

   警察庁によると、免許証を保有する人の平均年齢は50.5歳(2022年12月末時点)で、ここ数年は毎年0.2歳ずつ上昇している。90歳以上の免許保有者も、昨年12月に初めて10万人を超えた。今後、ますますドライバーの高齢化は進んでいくとみられる。

   そうしたなか、クルマに乗らなくなって使わなくなった運転免許証や、加齢に伴う身体機能の低下などで運転に不安を感じるようになった高齢ドライバーに推奨されている「免許証の自主返納(申請による免許取消)」の動きが鈍い。

   ニッセイ基礎研究所 保険研究部主任研究員でヘルスケアリサーチセンター兼任の村松容子氏は、23年4月25日発表のレポート「高齢者の免許返納率の推移」で、高齢者の運転技能検査や、認知機能検査が運転免許証の返納を考えるきっかけになっている点を指摘するとともに、検査機会の増加や検査対象者の選定、評価基準の継続的な見直しへの期待を示している。

免許返納者、2019年以降は減少に転じる

   高齢ドライバーが運転するクルマの暴走、死傷事故が全国各地で相次いでいる。

   警察庁によると、2022年に全国で起きた75歳以上の高齢ドライバーによるクルマやバイクの交通死亡事故は、前年に比べて33件増えて379件で、2年連続の増加となった。

   ちなみに、22年の事故総数は30万839件。死者は2610人、重傷者は2万6027人で、ともに過去最少を更新した。それにもかかわらず、高齢ドライバーが起こした379件の事故は、運転者が最も過失の重い「第1当事者」になったケースで、死亡事故全体の16.7%を占めた。

   1947~49年生まれの「団塊世代」が75歳以上となり始めた影響で、増加傾向にあるとみられるが、それでも統計が残る1986年以降で最も高かった。

◆運転免許証の返納者には、本人確認で利用できる「運転経歴証明書」を発行

   運転免許証の自主返納制度は、1998年に始まった。

   ただ、運転免許証は身分証明書として用いることが定着していることから、返納しづらい事情があった。それを2002年以降、自主返納者には本人確認用の書類として利用できる「運転経歴証明書」を発行することにしたことで、徐々に返納が定着。近年は高齢ドライバーの免許の自主返納は増加傾向にあった。

   しかし、2019年4月には、東京・池袋で、当時87歳の高齢者が運転するクルマが暴走して、母親と3歳の長女が死亡した事故が発生した。高齢ドライバーによる交通事故に社会的な関心が高まった(東京地裁は21年9月、被告に禁錮5年の実刑判決を言い渡した)。

   この死亡事故をきっかけに、高齢ドライバー免許証の返納への議論が活発化、また高齢ドライバーに向けられる家族や周囲の目が厳しくなり、免許返納者が急増した。

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