【2024年卒就活生】「単純作業の事務職あきらめた」ChatGPT登場で、志望先変える人続出 AIを就活に使う人2割...そのメリット&デメリットで大論争

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   就職戦線が後半戦に突入しているが、「ChatGPT」など対話型の生成AIの登場は、就活生の就職活動にどう影響しているのだろうか。

   就職支援サービスの「マイナビ」(東京都千代田区)が2023年は6月7日に発表した「マイナビ 2024年卒大学生 活動実態調(5月)」によると、就活生の約15%が「AIにはできない仕事をしたい」など就職観に影響を受けている。

   また、就職活動で「AIを使いたい」学生と、「使いたくない」学生が賛否同数に分かれるなど、「ChatGPT」の登場は就職戦線に波乱を巻き起こしているようだ。

「システムエンジニア志望だが、スキル不要になると聞き...」

   マイナビの調査は、就職活動真っ最中の2024年3月卒業見込みの大学生と大学院生計5062人が対象だ。

   まず、「ChatGPT」など先進的なAIの登場によって、就職観や志望業種・志望職種・志望企業などの選択に影響があったか聞くと、最も多いのは「影響を受けたことはない」(43.6%)で、次いで「どちらともいえない」(41.3%)が続き、「影響を受けたことがある」学生は15.3%となった【図表1】。

(図表1)生成AIの登場で就職活動に影響を受けたか(マイナビの作成)
(図表1)生成AIの登場で就職活動に影響を受けたか(マイナビの作成)

   具体的に、どんな影響を受けたかをフリーコメントで聞くと――。

「システムエンジニアを志望していたが、プログラミングスキルを社会が重視しなくなると考えて志望度を下げた」(理系男子)
「AI技術の進歩により、事務など単純作業は人が行う必要がなくなると聞き、事務職採用で内々定をもらおうとするのは半ばあきらめようという気持ちになった」(文系女子)
「AIではできない、対人ならではの仕事をしようと考えるようになった」(文系男子)
「翻訳業を志望していたが、ChatGPTの出現で少し考え直し中である」
「物流だと、人出不足や2024年問題でどんどんセンターの機械化が進むこともあり、キャリアが描けないのではないか?と思い始めた」
「AIに置き換われない、エッセンシャルワーカーの仕事に興味を持つようになった」

   こういった意見が相次いだ。

「AIが作った面接想定設問、思いがけない角度で役に立った」

AIを面接の練習に使いたい(写真はイメージ)
AIを面接の練習に使いたい(写真はイメージ)

   「ChatGPT」などの生成AIを使ったことがあるかを聞くと、最も多いのは「使ったことはないが、サービスのことは知っている」(48.2%)だが、「利用経験がある」(39.2%)学生は4割近くに達した。

   また、実際に就職活動に使ったことがある学生も約2割(18.4%)いた。かなり多くの学生に「ChatGPT」などAIの利用が広がっているようだ【図表2】。

(図表2)生成AIを使ったことがあるか(マイナビの作成)
(図表2)生成AIを使ったことがあるか(マイナビの作成)

   しかし、AIを就職活動で活用することについては、賛否が真っ二つに分かれた。「使いたい」(34.8%)と「使いたいと思わない」(37.8%)が、ほぼ同程度だったのだ【図表3】。学生の間でも考え方にばらつきがある。

(図表3)生成AIを就職活動に利用したいか(マイナビの作成)
(図表3)生成AIを就職活動に利用したいか(マイナビの作成)

   「使いたい」という学生の意見をフリーコメントから見ると――。

「エントリーシートの推敲や拡大(400文字から600文字にするなど)など、就活の補助的なものとして使いたい」(理系女子)
「エントリーシートで、志望動機などをまとめられない時、ChatGPTに箇条書きに志望理由をまとめることに利用したい。まとめてもらったものを参考にすることで、効率化を図ることができると思う」(文系女子)
「企業の情報と自身のエントリーシート記入内容を読み込ませ、面接で聞かれそうな設問を想定させている。自分では思いつかない角度からの質問は、実際の面接でも役立った」(文系女子)
「面接の逆質問を考える際や、競合他社との比較の場面で使ってみたい。自分で調べるより効率的に情報が得られると思う」(文系女子)

「AIのパクリでは、自分のオリジナリティーを出せない」

AIに仕事を奪われる?(写真はイメージ)
AIに仕事を奪われる?(写真はイメージ)

   一方、「使いたくない」という学生からはこんな意見が――。

「AIによる分析も手段の1つだと思うが、やはり人と話すことで心が整理されたり、癒されたりすることもあり、また、人と話す練習が面接で活かされると考えたため、メインとして使いたいとは思えなかった」(理系女子)
「一度、情報を入手したいと思い利用したが、その情報が間違っており、自分で調べて情報収集するのが一番確実だと思った」(文系女子)
「エントリーシートの下書きに、ChatGPTを使用した。いくつかのキーワードと条件を与えて生成したところ、案外筋が通ったものが出来上がった。しかし、完璧に自分の伝えたいことが文章に反映されているかというと、そうではない。自分の頭で考え、自分の手でキーボードを打ち込むほうが、結果的に効率的であると考える」(文系男子)
「自分の考えたことを自分の言葉で述べることが大事なので、AIのような第三者が考えたものをパクることは、ほかの就職活動者との違いが出てこないおそれがある」(理系男子)
「生成AIは、自分の経験や考えを完全に反映できるわけではなく、オリジナリティーに書けてしまうデメリットが予想されます。どこの企業でも当てはまる『ありきたりな履歴書』ばかり作られることを懸念します。だから、選考に関わらない場面で使ったほうが無難だと思います」(理系男子)

   といった意見が寄せられた。

   「使いたい」という学生も、「使いたくない」という学生も、それぞれ就職活動という人生の岐路のさなかに、生成AIの登場というビッグウェーブを前に、戸惑っている様子がうかがえる。

   調査は2023年5月25日~31日、2024年3月卒業見込みの大学生、大学院生5062人(文系男子1038人、同女子2071人、理系男子1009人、同女子944人)にインターネットを通じてアンケートを行なった。(福田和郎)

姉妹サイト